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“口にくわえるだけ” で通常の歯磨きと同じ効果 手による磨き動作不要の次世代型全自動歯ブラシの開発に成功

発表のポイント

  • 口腔及び歯の健康は、全身の健康に直結しているため、日々の歯磨きは極めて重要。
  • 早稲田大学と早大生が起業したGenics社との共同研究で、手による磨き動作不要の次世代型全自動歯ブラシの開発に成功。
  • 高齢者や障がい者、被介護者をはじめとしたすべての人を歯磨きの煩わしさから解放。

早稲田大学理工学術院の石井裕之(いしいひろゆき)准教授株式会社Genics(社長:栄田源(さかえだげん))の共同研究グループは、手による磨き動作不要の次世代型全自動歯ブラシの開発に成功しました。

今回開発した全自動歯ブラシ

口腔及び歯の健康は、全身の健康に直結しているため、日々の歯磨きは極めて重要です。しかしながら、筋力の低下した高齢者や上肢に障害のある方など、独力で歯磨きを行うことが難しい人も少なからず存在しています。今回の研究では、ロボット技術、人間中心設計技術、システムインテグレーション技術を応用して、このような方々が、残存機能または最小限の介助によって健常者と同等の歯磨きをできる全自動歯ブラシの実現を目指しました。

今回開発した全自動歯ブラシのマウスピースには、歯垢を除去するためのブラシが植えられていて、これを複数の小型電動モータによって駆動することで、歯列にそってブラシを上下左右に運動させて歯垢の除去を行います。歯列形状にそってブラシが歯の裏側を含むすべての面に当たるように設計されているため、複数の歯を同時に磨くことが可能となり、短時間で効率的に歯垢を除去します。歯垢除去率は、手で歯ブラシを動かして歯磨きを行った場合と同等で、磨き残しも防ぎます。

今回開発した全自動歯ブラシは、高齢者や障がい者だけでなく、介護者の負担も低減します。さらに、たとえば時間が無い朝に、全自動歯ブラシで歯磨きをしながら服を着替えることを可能にするなど、すべての人々を歯磨きの煩わしさから解放します。今後、実証実験を進めて、2019年度中には試験販売開始の予定です。

また、株式会社Genicsは、社長である栄田源(先進理工学研究科博士課程在学中)が本学大学院修士課程在籍時に受講した「WASEDA-EDGE 人材育成プログラム」をきっかけに起業した会社で、今回の共同研究は、本学のロボット研究とアントレプレナー人材養成教育が結実したものと言えます。

なお、本研究成果は、2019年1月8日、アメリカで開催の展示会CES(Consumer Electronics Show)で発表されました。

米・ラスベガスで開催されたCESにて全自動歯ブラシを手に持つ石井准教授(左)と口にくわえる栄田氏(右)

(1)これまでの研究で分かっていたこと(科学史的・歴史的な背景など)

本学は、故加藤一郎教授がヒト形ロボットの研究開発を始めて以来、世界初の本格的人間形知能ロボットWABOT-1や2足歩行ロボットWABIAN-2などさまざまなロボットを開発し、世界のロボット研究をリードしてきました。また、そこで培われた技術を応用して、医学教育用患者ロボットや小型不整地移動ロボットの実用化など、さまざまなロボット技術の社会実装にも取り組んできました。これらの経験を通して、ロボット工学の発展には、先端技術の研究開発とその成果の社会実装を同時に進めることが重要であることを強く認識するに至りました。

このような流れの中で、2015年にJSTによるSTARTシーズ育成プロジェクト(ロボティクス分野)の公募に対し、「口腔ケア補助ロボットの開発」を提案しました。この提案に際しては、当時本学大学院修士課程の大学院生だった栄田源(現:株式会社Genics社長、先進理工学研究科博士課程在学中)と本学理工学研究所次席研究員の石井裕之(現:本学理工学術院創造理工学部准教授)、そして理工学術院創造理工学部教授の高西淳夫が中心となり、ロボット技術による日常生活でのイノベーションの実現をテーマにディスカッションを重ね、社会的ニーズが十分に大きく、また本学が有する技術シーズによって革新的貢献が可能との観点から、歯磨きを自動化するロボットの開発をテーマに選定しました。そして、歯磨きロボットの最初のプロトタイプが開発されました。その後、歯磨きロボットの高度化と事業計画の具体化を目指して、JSTが実施するSTART社会還元加速プログラムに「ロボット技術を応用した全自動歯ブラシの事業化検証のための歯垢除去機構の開発」の提案を行い、採択されました。続いてこのプログラムを通して開発された技術ならびにビジネスモデルをもとに、2018年4月に栄田源を社長として株式会社Genicsを設立し、本学との共同研究のもとに、現在、歯磨きロボットの事業化に取り組んでいます。

 (2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

口腔及び歯の健康は、全身の健康に直結しているため、日々の歯磨きは極めて重要です。しかしながら、筋力の低下した高齢者や上肢に障がいのある方など、独力で歯磨きを行うことが難しい人も少なからず存在しています。今回の研究では、このような方々が、残存機能または最小限の介助によって健常者と同等の歯磨きを実施できるようにする、全自動の歯ブラシの実現を目指しました。そして、口腔内に挿入してくわえているだけで歯垢を除去してくれる全自動歯ブラシの開発に成功しました。

この全自動歯ブラシは、高齢者や障がい者だけでなく、すべての人々を歯磨きの煩わしさや不完全な歯磨きへの不安から解放してくれます。例えば、時間が無い朝に身だしなみを整える場面では、全自動歯ブラシを使うことで歯磨きをしながら髪型を整えたり、服を着替えたりすることが可能となります。また、磨き残しの可能性が低減され、毎日歯磨きをしているのに虫歯になる、すぐに歯石がたまるといった事態を防ぐことができるようになると考えています。

 (3)そのために新しく開発した手法

ロボット技術、人間中心設計技術、システムインテグレーション技術を応用して、手による磨き動作を必要としないマウスピース型の全自動歯ブラシを開発しました。マウスピースには、歯垢を除去するためのブラシが植えられていて、これを複数の小型電動モータによって駆動することで、歯列にそってブラシを上下左右に運動させて歯垢の除去を行います。マウスピースは、歯列形状にそってブラシが歯の裏側を含むすべての面に当たるように設計されていて、複数の歯を同時に磨くことが可能です。これにより、短期間で効率的に歯垢を除去します。マウスピースは簡単に交換することが可能な設計となっていて、数カ月に1回程度の頻度で交換することで、常に高い歯垢除去性能を発揮することが可能となっています。

(4)今回の研究で得られた結果及び知見

開発した全自動歯ブラシによって、手で歯ブラシを動かして歯磨きを行った場合の歯垢除去率と同等の歯垢除去率を実現できることが確認できました。また、自らの手で歯ブラシを動かして歯を磨くことが困難なユーザに対して、全自動歯ブラシに関するヒアリングを行って、全自動歯ブラシの有用性を確認しました。

(5)研究の波及効果や社会的影響

介護現場では介護者が他の対応に追われ、被介護者に対して日々十分な歯磨きを提供できていないことが課題とされています。また、在宅介護の場合はその負担が家族にかかることになります。免疫機能が弱っている被介護者にとって適切な歯磨きによって病気のリスクを減らすことは極めて重要ですが、同時に、介護士の負担低減も強く求められているところです。今回開発した全自動歯ブラシは、介護者の負担低減と被介護者の健康増進の両方を同時に実現する極めて有用な手段となると期待されます。また、被介護者の中には他人に歯磨きをされることに抵抗を感じる人も少なからずいます。このような人にとっても全自動歯ブラシは極めて有用な道具となると期待されます。

(6)今後の課題

現場での実証実験を進めてユーザにとって使用しやすい製品に進化させ、2019年度中には試験販売を開始したいと考えています。

(7)100字程度の概要

早稲田大学とGenicsは、手で歯ブラシを動かすことなく歯を磨くことが可能な次世代型全自動歯ブラシを開発しました。このブラシは口にくわえるだけで歯を磨いてくれます。これはもう歯磨き革命です。

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