Rising Star 挑戦者たち
学生生活を通して得た視点や能力を生かし、最前線で活躍する学生と校友を紹介します。
今回は社会科学部1年のベイリス ジョセフ ピーターさんと、日本舞踊藤間流師範の藤間翔央さんに、大学での学びや経験、社会とのつながりを語っていただきました。
好きだから、やる。日本の伝統文化・芸能と人をつなぐ懸け橋に
日本舞踊の流派の一つ、藤間流の師範である藤間翔央さん。幼い頃から母の藤間恵都子師に師事し、現在は神奈川県にある教室で踊りを指導する傍ら、多くの人に日本文化・伝統芸能の情報と魅力を発信するポータルメディアサイト「和ものびと」の運営やワークショップなどの活動に携わっている。その原動力は、日本の伝統文化「和もの」の魅力を知ってほしいという思いだ。
大学で日本舞踊を専門的に学ぶ選択肢もあったが、当時興味があった文学や創作活動を学べる文化構想学部に進んだ。「早稲田大学には、みんなそれぞれ好きなことをやっていいという雰囲気があり、その雰囲気がとても好きでした」と振り返る。さまざまな方向を向いて活動する友人たちを見て抱いた「自分も負けていられない。私は私のやり方で、何かしないといけない」という思いが、後に「和ものびと」の活動に結びついた。
「就職」か「踊り」か。卒業後、どちらの道を選ぶか悩んだ時、「日本舞踊の世界だけではなく、外の世界も見ておくべきだ」という母の言葉で就職を決意。ITベンチャー企業へ就職した。マーケティング事業に携わり、充実した日々を送るも、踊りの稽古をする時間はなかった。一年半ほど踊りから離れた生活が続いたある日、ふと「踊りたい」と考えている自分に気が付いた。「『朝起きて詩を書きたいと思ったら、君は詩人なんだ』という映画の台詞を思い出し、踊りの世界に戻ることを決意しました」。一度踊りの世界から離れることで、新たな発見もあった。舞台活動やワークショップなど、和ものの魅力を発信する活動に多くの人が取り組んでいる。しかし、そうした人々と和ものに興味のある人たちとをつなげる場所がない。「もったいない。和ものと人をつなぐ場をつくれないだろうか」と考え、ポータルメディアサイト「和ものびと」を思いついた。前職での経験を活かし、2016年から活動を開始。「ITを駆使して和ものを知ってもらう。それは自分にしかできないことだと思っています」と語った。今後は「和ものびと」の英語対応も進め、世界に向けて和ものの情報発信をしたいと意気込む。
学生時代、「日本舞踊は将来何に役立つのか」と問われることもあった。当時は答えを出せなかったが、「文化や芸能は何かに役立てるためにやるわけではない。好きだから、やる。それでいいんだ」と思うようになってからは、自分の進む道に自信を持てるようになったという。「いつか、パリのオペラ座で踊りたい」と話す藤間さん。彼女がつくる人と和ものとの出会いが、今も新たな感動を生み出している。
藤間翔央さん 日本舞踊・藤間流師範、和と人をつなぐポータルメディア「和ものびと」発起人
2012年早稲田大学文化構想学部卒業。同年、ITベンチャー企業に入社。営業職・Webマーケティング職を経験。2014年以降は、日本舞踊を主軸に活動。2016年にクラウドファンディングで活動資金を募り、ポータルメディア「和ものびと」を立ち上げる。