2017年8月23日(水)から25日(金)の3日間、演劇博物館初の試みとして「エンパク★こども演劇教室2017」が開催されました。文化庁補助金事業「地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業」の一環でもあるこの演劇教室は、小学校5年生から中学生3年生を対象に、自分で作品を作り、演じることを通じて演劇の楽しさに触れてもらおうと企画されたものです。
キャッチコピーは「演じるってなんだろう?」。講師には劇団「青年団」を主宰する平田オリザ先生をお迎えしました。世界的にも評価の高い劇作家・演出家である平田先生の作品はフランスや韓国など世界各国で上演されています。高校演劇を題材とした小説『幕が上がる』がももいろクローバーZ主演で映画化されたことでも話題になりました。
- 講師の平田オリザ先生
- ワークショップ
約30人の参加者は5つのグループに分かれ、3日間のワークショップ通じて10分ほどの短い演劇作品を作ります。最終日の発表会の会場は早稲田小劇場どらま館。小さいですが本物の劇場の舞台が子供たちを待っています。しかしまずは緊張をほぐすところから。生まれ月や好きな果物ごとにグループに分かれたり、自分が引いたカードとなるべく近い数字のカードを持っている人を探したり。どれもちょっとしたゲームですが積極的なコミュニケーションが成功の鍵。ときに見学に来た保護者の方も巻き込みながら、あっという間に和やかな空気ができあがっていました。
緊張がほぐれたところでいよいよ実際に演じてみます。平田先生が用意した短い言葉のやりとりからはじまり少しずつ長いやりとりへ、そして自分たちでセリフを考えてみるところまで。途中途中でシアターゲームを交えつつ、子供たちは限られた時間の中で作品を作り上げなければなりません。2日目には終了時刻を過ぎても相談を続けるグループもありました。
- ワークショップ
- 発表会
そして3日目の発表会。作品はそれぞれに個性的でありつつ、きちんと作品としてもまとまりのあるものになっていました。保護者の方々も驚くほどの完成度。「来年も参加したい」「友達にも薦めたい」。大好評のうちに演劇教室の幕は下りました。
演劇博物館は、2018年3月23日(金)に向けたリニューアルオープン準備のため現在休館中。来年度の企画も着々と計画中です。続報をお待ちください。
講師 平田 オリザ(ひらた おりざ)
劇作家・演出家。劇団「青年団」主宰。こまばアゴラ劇場芸術総監督、城崎国際アートセンター芸術監督。大阪大学COデザインセンター特任教授、東京藝術大学COI研究推進機構特任教授、四国学院大学客員教授・学長特別補佐。
1962年東京生まれ。国際基督教大学在学中に劇団「青年団」を結成。1995年『東京ノート』で第39回岸田國士戯曲賞。2006年モンブラン国際文化賞受賞。2011年フランス国文化省より芸術文化勲章シュヴァリエ受勲。2002年以降、国語教科書に採用されたワークショップの方法論に基づき、多くの子どもたちが教室で演劇を創作している。