本来結びつかない人材同士が早稲田大学をハブとして結びつく Waseda Ocean構想の今

2017年1月23日、早稲田大学SGU実行会議主催による、国際シンポジウム「グローバル社会における大学の役割」が開催されました。

本シンポジウムでは国際連携に焦点をあて、早稲田大学における国際化の取り組みを報告するとともに、Joint Degreeを目指したJoint Supervision(以下JS)制度や、Joint Appointment(以下JA)制度などの具体的な事例を、これらの制度を活用した、学生・教員の生の声を交え紹介しました。また、Waseda Ocean 構想を通じて新たな人材育成フレームを構築した海外3大学(モナシュ大学、高麗大学校、ボン大学)の副学長より、国際化の取り組みに関する報告がありました。本学学生・教職員のみならず、学外からも他大学、大使館(アメリカ、ドイツ、カナダ、フィリピン、パキスタン)、企業関係者をはじめ総勢250名を超える来場があった盛況なシンポジウムとなりました。

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橋本周司副総長(理工学術院教授)

開会挨拶で、橋本周司副総長(理工学術院教授)は、これまでの本学の取り組みと将来計画を紹介したうえで、「本学の中長期計画であるWaseda Vision150と文部科学省スーパーグローバル大学創成支援によるWaseda Ocean 構想が有機的に結びつき、本学の教育研究改革はさらに加速している。それにより、頭脳の国際循環が加速的に深まっていくと実感しています。大学の国際展開・連携は本学のみならず、国として推進している重要な施策で、今後さらに改革を推進していきたいと思います。本学の学生には、国際レベルの高度な教育研究が体験できる環境を大いに活用し、グローバルリーダーとなるべく経験を積んでほしい」と述べました。

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文部科学省高等教育局国際企画室 堀尾多香室長補佐

文部科学省高等教育局国際企画室の堀尾多香室長補佐は、「これまで誰も経験したことのないような新しい時代だからこそ、新たな知の創造拠点であり、未来を生きる人材を育成する機関である大学には、より一層大きな役割を果たすことが求められます。そのためには、大学自身が国の枠を超えて相互に連携し、教育研究の質を高めていくことが重要です。グローバル社会におけるより良い人材育成のフレームワークづくりと、新しい時代の大学改革に繋げて頂きたい」と本学の取り組みに期待を寄せました。

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森田典正理事(国際担当・国際学術院教授)

第1部の基調講演で、森田典正理事(国際担当・国際学術院教授)は、早稲田大学における国際化施策の紹介として、国際化の現状と将来計画を紹介。外国人留学生数が5,000人を超え順調に伸びている現状や、日本においてダブルディグリープログラムのパイオニア的存在であること、雇用者からの評価を含むランキングとして、QS社のEmployability Rankingsで国内1位となったことを報告。国際的な問題を解決していく教育研究環境を構築する為に、今後も引き続き外国人留学生や外国人研究者の受け入れ、派遣留学生を増加させていくなどの目標を紹介しました。

T01_3046続く海外大学の事例紹介では、これまでにない形での海外大学との協定の活用方法や、国際連携協定の重要性、東アジアと北欧のコンソーシアムの形成、中期の国際戦略等が紹介され、本学の目指す方向性が示唆される内容となりました。また、韓国の高校1年生パク・クヒさんからの「大学間の連携で最もよかったプログラムについて教えてください」という質問に対し、ボン大学のAndreas Zimmer副学長は、「ボン大学のLife & Medical Sciences Bonn Institute (LIMES)に設置されているラボのように、若手研究者・学生の受け入れで学際的な国際共同研究による育成や交流を図れるようなプログラムはとても効果的」と回答。今後、大学進学を目指す高校生にとっても、有意義な事例紹介となりました。

第2部の基調講演において、日本経済団体連合会未来産業・技術委員会産学官連携推進部会長の永里善彦氏は、「これからの未知の領域に対応するには、深い専門分野の知識を持ち、海外で活躍できる博士人材が必要」と述べ、本学のチャレンジに対し、「国のしがらみのない私立大学として、未来社会に対応する自由闊達なグローバル人材の育成を目指すとともに、本来結びつかない人材同士が早稲田大学をハブとして、結びつくようになって欲しい」と期待を述べました。

続いて、スーパーグローバル大学創成支援によるWaseda Ocean 構想の取り組み事例として、SGU事業を牽引する先行モデル拠点であるナノ・エネルギー拠点、実証政治経済学拠点、さらにJA教員が報告を行いました。

ナノ・エネルギー拠点のリーダーの西出宏之教授(理工学術院)からは、拠点をベースに海外有力大学との継続的な関係構築を通じて、本学初の先行事例を実現した「JA教員の受入れ」と、研究者同士の個人レベルの研究教育連携を組織的な国際共同研究指導プログラムへ昇華させた「JS制度の構築」についての成果報告がありました。
いずれの取組みも本学初の先行事例を実現させるために、学内規程の改正や海外大学との組織間の交渉に時間を要し、実を結んだもの。短期招聘や国際シンポジウム・ワークショップ等を通じた人的交流がベースとなり受入れが実現したJA教員による世界最先端の指導を受けた本学学生が、さらにJS制度による国際共同研究指導プログラムに参加・留学し、海外でのJA教員の指導をも通じて国際的な学術ジャーナルに共著論文を出版するに至るとの好循環が生まれている実例が語られました。

実証政治経済学拠点のリーダーの田中愛治教授(政治経済学術院)からは今後の展望として、ヨーロッパ最高峰と評されるエセックス大学による本学でのサマースクールの開催規模拡大、JA教員採用への取り組み、学部学生から修士博士までの一貫した英語教育研究の充実などを図っていくことが報告されました。

JA教員のイタリア技術研究所(ITT)のFrancesco Greco准教授やピサ大学のVladimir Georgiev教授は、受け持っていた本学学生が徐々に自信を持ち、交流が盛んになった体験や、日常生活における文化の違いに戸惑いはあったものの、コミュニケーションを通じて互いに成長した事を報告。「自身の大学で取り組んできたような、研究者・学生による自主的なセミナーを早稲田でも行いたい」などとコメントしました。

T01_3227博士学生の体験談では4名の学生が登壇し、みずからの体験を英語でプレゼンテーションしました。日本との研究の進め方の違いを体感した点、ミクロの見方だけでなくマクロの視点を持つことの重要性を感じた点、海外生活での異文化理解を通じて大きく自身の成長につながった点等、各人の充実した海外有力大学での教育・研究の体験が語られ、力強く自信に満ち溢れたプレゼンテーションは、聴衆にも強い印象を与えました。

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佐藤正志理事(教務担当・政治経済学術院教授)

閉会の挨拶で、佐藤正志理事(教務担当・政治経済学術院教授)は、「本日紹介したような先行的な事例を全学的に波及させ、キャンパスと教室のさらなるグローバル化、教育研究環境の向上を図っていきたい」と述べ、本学の取り組みを一層推進させ、世界に貢献する高い志と人間力・洞察力を持ったグローバルリーダーを育成する目標を改めて宣言しました。また、本学学生に対し、「真のグローバル人材として成長する為に、早稲田という世界に開かれた環境を存分に活かしてほしい」と述べ、本シンポジウムを締めくくりました。

 

 

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