滝沢研二准教授、玉城絵美助教が「科学技術への顕著な貢献2016 ナイスステップな研究者」に選定

滝沢研二准教授、玉城絵美助教が「科学技術への顕著な貢献2016 ナイスステップな研究者」に選定

このたび、理工学術院の滝沢研二准教授、人間科学学術院の玉城絵美助教の2名が科学技術・学術政策研究所(NISTEP)「科学技術への顕著な貢献2016 ナイスステップな研究者」として選定されました。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)では、2005年より科学技術イノベーションの様々な分野において活躍され、日本に元気を与えてくれる研究者を「ナイスステップな研究者」として選定しており、過去にはノーベル賞を受賞した天野浩氏や山中伸弥氏らも選定されています。

選定は、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の日頃の調査研究活動で得られる情報や、専門家ネットワーク(約2,200人)への調査により、最近の活躍が注目される研究者約400名の候補者を特定し、優れた研究成果、国内外における積極的な研究活動の展開、研究成果の実社会への還元、今後の活躍の広がりへの期待等の観点から、最終的に「ナイスステップな研究者」11名を決定し、その内2名が本学から選ばれました。

理工学術院 滝沢 研二 准教授

選定業績:流体構造連成にかかわる研究領域を世界的に先導

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選定理由※
滝沢氏は、流体の流動と構造物の変形の相互作用に考慮した解析である「流体構造連成」を発展させ、タイヤと路面の設置面周囲の流れ解析や、心臓弁開閉の詳細な流れ解析など、これまでは不可能とされていた解析を次々と実現しています。様々な解析法を考案して現実の課題解決に適用する滝沢氏の成果は、その後の世界各国の研究に活用され、成果を引用する論文が互いに引用関係で結ばれて新しい研究領域の形成に至るなど、世界の研究活動に大きなインパクトを与えています。滝沢氏の専門は、流体工学あるいは計算工学という分野であり、なかでも「流体構造連成」という、流体と構造物とが強く関係し合って起きる物理現象の研究が中核となっています。これまでに滝沢氏が行った主な解析は、まず、大学院の博士課程修了後の海上技術安全研究所の研究員の時に、船の動きと海流という構造物と液体及び気体の三相流の問題を解析しています。その後、アメリカのテキサス州にあるライス大学に研究員として赴任し、テズドゥヤー教授のもとで、NASAとの共同研究によるパラシュート降下のシミュレーションに取り組む一方、ヒューストンの医療系研究者と心臓血管系の流体構造連成解析を行いました。早稲田大学に赴任後は、自動車分野その他の分野にも研究活動を広げ、タイヤと路面の接地面周囲流れ解析や、心臓弁開閉の詳細な流れ解析、ディスクブレーキの熱流体解析及び熱伝導解析を実現しています。滝沢氏が世界の研究活動に与えた影響は、後続研究への活用を示す論文引用数に見ることができます。滝沢氏が2012-2014 年の3年間に発表した成果論文のうち、12 本が他の研究論文への引用の多さで当分野のトップ10%に該当し、そのうちの4本はトップ1%に該当しています。互いに関連する優れた論文が数多く発表されるようになり、一つの研究領域として観察されるようになるなど、当該研究分野に非常に大きな影響を及ぼしています。

人間科学学術院 玉城 絵美 助教

選定業績:コンピュータの信号で人の手を動かす装置「ポゼストハンド」の開発と、在学中起業

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選定理由※
玉城氏は、東京大学大学院学際情報学府博士課程に在学中に、適切に電気刺激を与えることで、本人の意思によらず手と指を自由に動かせる装置「ポゼストハンド」を開発しました。「ポゼストハンド」の仕組みは、私たちが手を動かす時に脳が電気信号によって命令を出すのと同じ状態を外から電気刺激を与えて擬似的に作り出し、指や掌にある16の関節を動作させて、親指、人差し指、中指をそれぞれ独立させて動かすというものです。「ポゼストハンド」は、使い方が直感的で非常に簡単なことも大きな特徴です。電極パッド28個を2本のベルトでまとめて腕に巻きつけてコンピュータにつなげると、後は、どの電気刺激がどの手の動きに関連しているのか5~10分程度でソフトが自動的に学習する仕組みです。玉城氏らは、さらに、実際には触わっていないものを、電気刺激によってあたかも触っているように感じる機能も開発しました。この「ポゼストハンド」の開発成果は、2011年に米誌タイムの「世界の発明50」に選ばれています。2012年には、岩崎健一郎氏、鎌田富久氏とともに「H2L株式会社」を共同創業し、「ポゼストハンド」を用いて、各種研究施設やリハビリを行う医療機関での活用に取り組んでいます。さらに、H2L株式会社は、高成長を続けるVR(バーチャルリアリティ、Virtual Reality)の市場に参入しました。VRは「形は異なるが、本質的には実世界と同等に感じられる、もう一つの現実」であり、非常に広範な応用が期待される中、ゲーム業界が先導しています。H2L株式会社は、腕に巻くだけで直感的にVR ゲームを操作でき、VR ゲーム内の擬似的な触感も得られる2種類の新技術が搭載された触感型ゲームコントローラ「Unlimitedhand(アンリミテッドハンド)」をVR 開発者向けキットとして、2016年に販売を開始しました。Unlimitedhand は、ゲーム以外でも、人間の動きの情報を身体に直接出力できるため、例えばスポーツにおけるフォームの学習や、楽器演奏の補助に使える可能性も持っています。生活とコンピュータをつなぐVR 分野で、ソフトだけの提供でなく、デバイスの開発(最終製品までの製品開発)も自社で実施し、社会とともに自分が実現したいことを形にするため、研究者でありながら起業家として積極的に取り組まれています。玉城氏によるこれらの研究・事業が、VRのさらなる発展に寄与することが期待されます。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の報道発表(2016/12/9)資料(ナイスステップな研究者2016の選定について(報道発表資料))を引用。

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