早稲田大学理工学術院(大学院情報生産システム研究科)田中英一郎教授(前任の芝浦工業大学、埼玉大学から本研究に従事)は、広島大学大学院医歯薬保健学研究院 弓削類教授、株式会社スペース・バイオ・ラボラトリーズ代表取締役 河原 裕美らと共同で、足首の関節の動きを電動サポートのみで正常歩行に導く超小型軽量の密着型歩行補助装置「RE-Gait®」を開発しました。
今回開発された「RE-Gait®」は、2016年10月17日(月)、介護施設の運営展開と医療機器・福祉用具販売を手掛ける株式会社オリジン(住所:愛知県豊橋市、代表取締役:元吉 伸幸)から医療機関や福祉施設に対し発売が開始されます。なお、本製品は2016年10月12~14日開催のBioJapan2016の株式会社スペース・バイオ・ラボラトリーズのブースに出展されます。
昨今、健康寿命の延伸や寝たきり予防について国が取り組む中、医療・介護・在宅の現場において、歩行補助ロボットが注目されています。今回発表をする「RE-Gait®」の最大の特徴は、足首の関節を補助するのみで正常歩行に導き、かつ使いやすさを重視し小型軽量化を実現したことです。脳卒中後の患者は歩行障害による転倒リスクが高いにも関わらず、歩行がままならない状態で退院、自宅で療養、転倒され寝たきりになるケースも見られます。「RE-Gait®」は要介護者や寝たきりの減少に貢献するべく、過去 8 年の試行錯誤の上、この度完成にいたりました。
RE-Gait®の特徴
- 1. 足首のみに装着して歩行補助が可能
- 2. 片足で約1kgという超軽量型(制御ボックスは別)
- 3. 装着器具はズボンの裾の中に収まるほどの大きさ(約W300×D140×H365mm)
脳卒中は「介護が必要となる原因」の第1位でもあり、寝たきりになる原因の4割が脳卒中などの脳血管疾患と言われています。ところが、歩行のリハビリテーションがままならない状況で退院、自宅で療養するも、転倒し寝たきりになるケースも見られます。「RE-Gait®」は病院や福祉施設で歩行訓練する際、患者に合った歩行プログラムを設定することができ、リハビリテーションを効率化させるだけでなく、脳卒中後の歩行障害による転倒や寝たきりを予防することにも繋がります。また総重量1kgのため装着の違和感や不快感にも配慮して開発しています。
密着型歩行補助装置「RE-Gait®」とは
「RE-Gait®」には、「再び(re)歩く(gait)」の意が込められています。「歩ける感動をもう一度・・・」をコンセプトに、脳卒中後の片麻痺患者に対する歩行補助装置として開発されました。病院のリハビリテーション現場やデイサービスなどの福祉施設への導入を予定しています。要介護者の減少、寝たきりの減少への貢献を目指します。
特徴
RE-Gait®は、脳卒中後の片麻痺患者様の歩行をアシストして正常な歩き方に近づけるという特徴を兼ね備え、リハビリテーションの現場で活用されることが期待されます。
- 1. 足首だけを補助する
人間の構造、生理現象を活用しています。歩行中に足首だけを適切なタイミングで動作補助することで、膝関節と股関節は連動して動き歩行ができます。 - 2. 歩行パターンのプログラム化
装着者の状態に応じて、目標とする足関節の動作をあらかじめ装置に設定し、足裏の地面の接地状態に応じて装置が適切に制御します。歩行パターンはタブレットにより設定でき、目標動作を即座に容易に変更、調整可能です。 - 3. 超小型軽量
開発中の患者への聞き取り調査を元に、患者は目立つものを装着することをためらう傾向があることを踏まえ、極力小さく、軽く、できれば衣服の中に隠すことができることを目指し、既存の短下肢装具に近い形状です。
歩行アシストのメカニズム
脳卒中後の片麻痺患者は、足の背屈動作や脚の振り出し等の歩行動作が十分にできないため、外転歩行やぶん回し歩行といった異常歩行を呈します。このような歩行は、転倒のリスクが高く、転倒による骨折は、寝たきりの大きな原因となります。RE-Gait®の歩行アシストの特徴は、プログラム化した歩行パターンに応じて、歩行中の足首の動作を補助することです。適切なタイミングでつま先の上げ下ろしを補助することでつまずきのリスクを低減させ、正確で安全な歩行を実現します。
歩行データ取得について
踵が地面に接地し、つま先が地面を離れるスピードやタイミングは人によって千差万別です。そのタイミングを一人ひとり設定し、また訓練の再現性を高めるために、タブレットにデータを記憶することができます。
前回の歩行訓練より、健常な歩行周期に近づけられれば患者のモチベーションアップにもつながります。