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ドローンを用いた上空からのガンマ線撮影に成功 飛散した放射性核種の分布を短時間で画像化

2016年9月14日現在、早稲田大学理工学術院 片岡淳(かたおかじゅん)教授(先進理工学部)の研究室および同学術院 大河内博(おおこうちひろし)教授(創造理工学部)の研究室は、共同で福島・浪江町における放射性核種の環境調査を実施しています。

このたび、片岡研究室が開発した携帯型コンプトンカメラ(※1・2)をドローンに搭載し、上空から福島原発事故で飛散した137Cs の分布状況を、わずか10分程度の短時間で一気に画像化することに成功しました。近年急速に普及しつつあるドローンを用いて上空からガンマ線を撮影する試みは、今後の除染作業の効率化や、森林部や里山を含む個人家屋、学校などの公共施設の迅速な広域調査に威力を発揮するものと期待されます (※3)

下の図のように、市販のドローン(DJI 社製 S1000+:4.4kg) に独自開発の軽量コンプトンカメラ (重量 1.9kg)とノート PC を搭載し、上空 15~20m から直径 70 メートルの範囲を一度に動画撮影。取得した画像はリアルタイムで地上に無線で送信しました。これまでも大型無人ヘリなどを用いた類似の調査が試みられてきましたが、ガンマ線カメラの重量やシステム全体の重さ、インターフェイスの複雑さから様々な困難がありました。今回、新たに開発したシステムは総重量が5kg以下と軽量であり、比較的安価な汎用ドローンを用いて迅速な調査実施が可能です。
このように、市販の汎用ドローンを用いた短時間かつ迅速な上空からのガンマ線撮影は、軽量かつ高感度のコンプトンカメラだからこそ可能であり、世界初の試みとなります。

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なお実施例としては以下のようです。早稲田大学も本研究を通し、環境問題によりいっそうの貢献をしてまいります。

実施例1:浪江高校(津島分校グラウンド)

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上空からの撮影により、視野内に複数のホットスポットを確認しました。たとえば、上図で乗用車を止めている周辺に、広がったホットスポットがあることが確認されます(ホットスポットA)。さらに、左の視野端にも線量が高い箇所が確認できます(ホットスポットB)。以下では、上空15メートルから見つけたこれらホットスポットを、ドローン回収後に地上で撮影して確認しました。グラウンドの平均的な線量は約6μSv/h ですが、約2倍の強度を持つホットスポットが、ほぼ正しい位置に検出できていることがわかります。

とくにホットスポットB はカメラ視野端で感度が低い部分にも拘わらず、正しく検出できています。写真に見るとおり、B点はグラウンドと裏山の境目の領域であり、山からの土砂、吹き溜まりによる集積をみているのかもしれません。

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実施例2:浪江の里山(森林、林間部)

福島県下の約70%は森林であり、森林部の除染は今後の課題です。ドローンを用いて放射線核種の飛散状況を広域でサーベイする手法は、とくに森林部で威力を発揮することが予想されます。とくに、上空から森林を撮影することで、重点的に除染すべき領域を一目で識別可能です。下に示すのは、今回行ったテスト撮影の一例です(高度15メートルより撮影)。撮影部が深い森林のため、前記グランドのような地上での撮影・線量確認は行っておりませんが、今後より詳細な実験・検証を重ねる予定です。

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実施例3:線量の高度変化を測定

上記二つの実施例では、ドローンの高度を15メートルに固定し、上空一点からガンマ線の撮影を行いました。一方で、ドローンを用いるもう一つのメリットとして、高度を自在に変えた測定も可能です。今回の調査では、地上から上空150メートルまでの線量・高度変化の測定を併せて実施しました。左は針葉樹林、右は広葉樹林における線量の高度変化を示しています。高度によって線量がなだらかに減衰する様子や、本年4月に比べて9月の線量が下がっていることも確認できます。同様な調査を定期的に実施することで、森林部、とくに樹冠における放射性核種の動態調査なども可能になると期待されます。
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開発・実験メンバー

理工学術院 先進理工学部 応用物理学科 片岡淳研究室

  • 岩本康弘(実験リーダー)
  • 片岡淳
  • 岸本彩
  • 田川怜央
  • 望月早駆

理工学術院 創造理工学部 環境資源工学科 大河内博研究室

  • 大河内博
  • 勝見尚也
  • 金野俊太郎

注記

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