WASEDA Research 研究戦略センターの挑戦

WASEDA Research 研究戦略センターの挑戦

早稲田大学研究戦略センターとは、2009年4月に開設された、研究力強化を任務とする組織です。本学が国際的な研究大学へ飛躍するために、研究者の学術研究活動とそれを取り巻く学内外の様々な状況を調査・分析・評価し、今後学術研究を通して担うべき責務を果たすための研究戦略を提言することで、学術研究活動全体の活性化を図ることを目的としています。URA(University Research Administrator)と呼ばれる、研究戦略の策定やプロジェクト・マネジメント、科学技術政策に通じた専門人材が13名在籍し、大学における研究マネジメントの強化やファンドレイジングに取り組んでいます。

研究戦略センターの活動内容は多岐に亘りますが、今回はその中から3つを紹介します。

(1)国際連携の強化

2015年10月14日、本学はイラン・イスラム共和国のテヘラン大学と大学間協定を締結しました。本件は、URAが有する海外大学・研究者との豊富な友好関係がきっかけとなって調整が進められたものでした。

また例えば鎌田総長が訪米し、協定校であるカリフォルニア大学バークレー校を訪れた際に、URAの一人である橋本和夫教授も同行し、先方の副学長(Provost)と協議して、日米共同の新たなファンドレイジングの仕組みについて意見交換をしました。橋本教授はこう語ります。

橋本和夫教授

橋本和夫教授

「本学にとって、海外の大学と研究連携する目的は、(1) それぞれ単独ではできない研究領域にチャレンジすること、(2) 新たな知見を共創することにより、世界に新たなメッセージを送ること、の2点に集約できると考えます。研究活動は個別具体的であることから、このような目的は一つのシステムや制度として実現できるわけではないため、本学では人文系・理工系の領域で、UCバークレー校と本学の双方の研究リソースや体制を考慮しながら、研究の進め方を個別の研究毎に定めていくという地道な努力を積み重ねながら、研究企画を行っています。また、UC バークレー校を皮切りに、Stanford Universityや他のUC校との連携も視野に入れて、全学的な支援制度の整備も並行して検討しています。」

(2)戦略的創造研究推進事業(さきがけ)獲得

科学技術振興機構(JST)が実施している、若手研究者のアカデミアへの登竜門的位置づけともなっている公募型事業です。(主として自然科学系分野)競争率10~20倍の狭き門でしたが、大学として研究戦略センターによるサポートを強化した結果、昨年度1名、今年度は4名が採択されました。(昨年採択分を含めた5名のうち4名を研究戦略センターが支援。なお、過去25年間では通算24名が採択されています)

採択研究者の一人、玉城絵美助教(人間科学学術院)はこう語ります。

玉城絵美助教

玉城絵美助教

どのような研究テーマが採択されたのですか

「今回、リアル社会とサイバー空間のさらなる連結を見据え、視覚と聴覚の感覚共有に加えて、手の触覚と身体感覚の情報を相互に共有するAR(Augmented Reality)システムを確立しようという構想を提案しました。様々な事情などによって外出が困難な人にも、社会進出の機会を与え、豊かで質の高い生活を送ることに繋がると考えています。」

申請に際し研究戦略センターからどのようなサポートを受けたのですか

「事前に申請書のブラッシュアップやヒアリングの練習を通じて、多くのアドバイスを頂きました。私の場合、戦略目標への貢献や研究体制、将来展望など、どのように説明すべきか構想できずにいたのですが、研究戦略センターの方々のおかげで、ブラッシュアップされた申請が出来ました。ヒアリング練習は、研究戦略センターから4名の方々にお付き合い頂き、審査員目線での想定質問を多く出してもらいました。特に私の説明では審査員にとって理解しづらいだろう点、実は突っ込まれては困るなと考えていた点など、幾つかの鋭い指摘をもらいました。咄嗟の回答も含め、そのやり取りはメモをもらえたので、後に振り返ることが出来ました。

実際、その内容通りの質問も出ましたし、研究が提供するサービスを聞かれたときも、事前に頭の中で整理されていたので、慌てることなく自信をもって回答出来ました。そして、審査員の方から体系立てて研究計画を作っているとのお褒めの言葉をもらい、研究以外も『Kickstarterに出して製品として期間内に売り出して実験してみてほしい』『個人的なモチベーションをもっと全面に出しても良い』といった前向きな意見を頂きました。15分間の予定だった質疑応答は10分も延長、審査員の方々と和やかに過ごすことが出来ました。」

さきがけ申請を検討している学内他研究者へのメッセージをお願いします

「今は、弥が上にもこの得たチャンスをものにして、期待に応えたいという気持ちで一杯です。今後さきがけ申請を検討している本学の若手研究者は、ぜひ大学を挙げて若手を強化しようとしている流れに乗ってもらいたいと思います。ヒントがあるとしたら、やはりさきがけ事業の特徴をしっかり理解すること、自分のプロポーザルに対し第三者からの様々な意見をもらうことが大事だと思います。そして、学位も持っていて、研究評価やファンディング側の経験も豊富な方々が揃い、大学のシンクタンクとして採択ノウハウも蓄積してきている研究戦略センターからサポート頂けるといいですよね。アドバイスによって、自分の研究のポジショニングが俯瞰でき、将来進むべき方向も見えてきますので、非常に貴重だと思いますよ。」

海外大学との研究連携に関する懇談会(2015年10月7日本学にて)写真はバーミンガム大学

(3)WASEDA-EDGEプログラム

WASEDA-EDGEプログラムでは、理工系・商学系の博士課程学生らを対象に、起業マインドの涵養(かんよう)、デザイン思考、ビジネスモデル・キャンバスとリーンスタートアップという新規事業立ち上げのための理論・実践を盛り込んだ教育活動を展開しています。研究戦略センターは2014年のプログラム申請と立ち上げから関わり、学術院間の連携推進、プログラム設置、学内への制度化、学外とのネットワーク促進などを推進してきました。また、このプログラムと並行してイノベーション創出の場である「WASEDA共創館」設置を推進しました。

加えて、EDGEプログラムを通じ、学内の研究シーズの事業化をプロデュースしています。その成果例を2つ取り上げます。第1に、研究戦略センターが研究者と博士課程生をネットワーキングしたチームは、全国のEDGE実施校が集まる第3回EDGEシンポジウムのDEMO DAYで最優秀賞を受賞しています。第2 に、2015年文部科学省事業化推進プログラム(STARTロボティクス分野)において複数の事業が採択されました。研究戦略センターは学内への情報提供から、申請チームの形成、チームのEDGEプログラム受講、申請書ブラッシュアップまで一貫したプロデュースを行いました。

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「EDGEプログラムにおけるコミュニケーション力向上ワークショップ」の様子(1)

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「EDGEプログラムにおけるコミュニケーション力向上ワークショップ」の様子(2)

研究戦略センターは今後も様々な人、活動を牽引し、研究活動のファシリテーション等に関して学内でリーダーシップを発揮していきます。

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WASEDA University

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