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染色体中での紫外線損傷DNAの認識機構を世界で初めて解明 皮膚がん発生のメカニズムの理解、治療法確立への重要な成果

染色体中での紫外線損傷DNAの認識機構を世界で初めて解明

早稲田大学理工学術院 胡桃坂仁志教授、越阪部晃永助教、明星大学理工学部 香川亘准教授、神戸大学バイオシグナル研究センター 菅澤薫教授、大阪大学基礎工学研究科 岩井成憲教授、学習院大学理学部 花岡文雄教授、フリードリッヒ・ミーシャ研究所Nicolas Thomäグループリーダーらのグループは、染色体において紫外線によって損傷を受けたDNAの認識機構を世界で初めて解明することに成功しました。

紫外線によって損傷を受けたゲノムDNA(生物の設計図)は、今年のノーベル化学賞で受賞対象となったヌクレオチド除去修復と呼ばれる反応経路によって修復されます。今回の研究成果では、「ヌクレオチド除去修復に重要な因子が紫外線損傷によって形成されたふらふらとした不安定なDNAを染色体中から見つけ出す」メカニズムを明らかにしました。この発見は、ヌクレオチド除去修復関連遺伝子の変異が確認されている色素性乾皮症患者の皮膚がん発生のメカニズムの理解に重要な知見を与え、これを対象とした治療法確立のための基盤情報を提供する重要な成果です。

今回の研究成果は「Scientific Reports」(Nature Publishing Group)にて論文「Structural basis of pyrimidine-pyrimidone (6-4) photoproduct recognition by UV-DDB in the nucleosome」として掲載されています。

Scientific Reportsへの掲載内容

○    越阪部晃永1・立和名博昭1・香川亘2・堀越直樹1・松本翔太3・長谷川まゆ4・松本直之4・栂達也4・山元淳平4・花岡文雄5・Nicolas H. Thomä6・菅澤薫3・岩井成憲4・胡桃坂仁志1 (1早稲田大・院・先進理工、2明星大・理工、3神戸大・バイオシグナル研究セ、4阪大・院・基礎工、5学習院大・理、6フリードリッヒ・ミーシャ研究所)

ゲノムDNAは、生物の設計図となる重要な物質です。ヒトのゲノムDNAは30億塩基対あり、長さにして2 mにも及びます。しかし、長大なゲノムDNAの全てが直径わずか10 μm (μは1,000,000分の1) ほどの細胞核に高次に折り畳まれて収納されています。これは、DNAがクロマチンと呼ばれる折りたたまれた構造を形成することによって成し遂げられています。クロマチンは、ヒストンと呼ばれるタンパク質とDNAとの複合体であるヌクレオソームを基本ユニットとしています(図1)。一方、ゲノムDNAは様々な要因によって日々損傷を受けます。特に、紫外線はDNAを化学的に共有結合する架橋損傷を導入することが知られています。紫外線によって導入されたDNA損傷は遺伝情報の破壊につながり、細胞のがん化や細胞死を引き起こす要因となります。そのため、生物は紫外線損傷DNAを修復するために、ヌクレオチド除去修復 (Nucleotide Excision Repair) と呼ばれる機構を獲得しています (Aziz Sancar博士、2015年ノーベル化学賞) 。ヌクレオチド除去修復に関わる遺伝子群は色素性乾皮症 (XP) 患者での変異から発見されており、このことから色素性乾皮症患者の皮膚がん発症が紫外線によるDNA損傷の修復欠損と密接に関与していることが示されています。しかし、ヒトをはじめとした真核生物のゲノムDNAはクロマチンを形成しているため、クロマチン中でヌクレオチド除去修復反応が行われなくてはならないにも関わらず、その機構は全く不明でした。

今回我々は、紫外線によって損傷を受けたDNAは、クロマチン中でふらふらした不安定な状態であることを明らかにしました。さらに、DNA損傷を認識するタンパク質であるUV-DDBが、紫外線損傷によって形成されたふらふらなDNA部分を、クロマチン中で見つけ出すメカニズムを明らかにしました (図2) 。

本研究の成果は、紫外線によって損傷を受けたDNAが、染色体中でどのように折りたたまれており、どのようにヌクレオチド除去修復タンパク質によって見つけられるのかを明らかにしたものです。そして、これらの成果は、色素性乾皮症患者における皮膚がん発生の仕組みを明らかにして、治療法確立のための基盤情報を提供するものと考えております。kurumizakadna

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