「自分が覆される」現代演劇の魅力を伝えたい 藤井慎太郎 文学学術院教授

早稲田の演劇研究と教育

早稲田大学では、坪内逍遙先生以来の演劇研究の伝統があり、様々なアプローチで研究が進められています。

3人の研究者に、研究と教育の2つの側面から早稲田演劇への思いを語っていただきました。

「自分が覆される」現代演劇の魅力を伝えたい

藤井慎太郎文学学術院教授

藤井eyecatchフランス語圏ヨーロッパ・北米における現代舞台美術(演劇、ダンス等)を研究しています。文化政策が充実しているフランスは、ヨーロッパでも有数の豊かな劇場文化が醸成されていて、パリは世界中の面白い作品がつねに上演されている、私には夢のような場所です。途轍もない作品を見て、“昨日までと同じ自分ではいられなくなるような衝撃”を受ける―そんな経験が私の原点にあります。学生のみなさんにも、自分を超えた異質な何かと出会って、揺さぶられる経験を大切にしてもらいたいですね。そういう力のある作品、それらを生み出す文化的な背景、政治経済的な制度を研究し、ひいては日本の舞台芸術の発展にも貢献できれば、と思っています。

授業では、伝統ある早稲田の演劇映像コースという看板に恥じない(!)ように意識しながら、古代ギリシャから現代に至るまでのヨーロッパ演劇を体系的に講義し、現代の舞台芸術をめぐる様々な問題を取り上げています。学生がレビューシートに寄せてくれた問いに授業で一つ一つ回答し、別のアプローチからの説明を試みるなど、理解を深めてもらうための努力をしています。

翻訳を担当し「小田島雄志・翻訳戯曲賞」を受賞したワジディ・ムワワド作「炎アンサンディ」の脚本

翻訳を担当し「小田島雄志・翻訳戯曲賞」を受賞したワジディ・ムワワド作「炎アンサンディ」の脚本

また、演劇を総合的に理解することの重要性も伝えたいと考えています。伝統的な演劇研究では戯曲(テクスト)を読むことに重点が置かれてきましたが、現代演劇において、テクストは絶対に必要不可欠なものでもない。その演劇を生み出した政治的、社会的、経済的な背景、稽古場や劇場の中で作品がつくられていく過程の全体を知ることが、演劇のより深い理解につながります。そうした総合的な視点は、現代の演劇界が必要としている人材にも求められていると思います。

どらま館が生まれ変わったことをきっかけに、教員と学生、理論と実践がもっと接点を持ち、いい意味で火花を散らすことができれば、新たに面白い演劇が早稲田から生まれるのではないかと期待しています!

 

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