顕彰状 ロバート・J・シルマン氏

ロバート・J・シルマン氏は、1946年4月6日に米国マサチューセッツ州、ウエストン市に生まれた。1968年にノースイースタン大学工学部を卒業後、マサチューセッツ工科大学へ進み、1974年にはマシンビジョン・人工知能の分野で博士号を取得した。

氏は、1981年に製造物の品質検査や製造プロセスのコントロールに使用されるマシン・ビジョン・システムを開発するコグネックス(Cognex)社を設立し、自ら代表取締役会長に就任した。同社は、1982年に世界で初めて「データマン」と呼ばれる光学文字認識読み取りシステムを生み出すなど、マシン・ビジョン・システムを組み込んだハードウェア・ソフトウェア製品を開発する。このシステムにより、毎分数千個もの部品を、正確に計測、誘導、識別、検査することが可能となり、現在では世界中の、半導体、自動車、医用機器をはじめ、幅広い分野において、様々な製造工程の自動化、生産性の向上、製造コストの削減、品質保証のために、同社の製品が使用されている。氏は、これらの諸製品の礎となる特許を数多く生み出し、75以上の特許を所有し、現在世界中で特許申請中のものも100以上に上っている。

今日では、マシン・ビジョンは、半導体生産の全工程で欠かせない要素となっている。同社が生み出したマシン・ビジョン・システム技術は、マシン・ビジョン・アプリケーションのパフォーマンスを高め、製造業界におけるマシン・ビジョンの導入に大きく貢献し、更に、医療、自動車、ヘルスケア、包装、航空宇宙、消費者製品製造などの産業にも氏の技術の応用範囲は広がっている。氏はこのような業績を通じ、同社を世界的な企業のひとつに育てあげるだけではなく、日本の企業に対しても、国際的視点から、技術の提供を惜しまず、我が国の産業基盤技術である画像処理の開発を基礎に、計測化、自動化、省力化を進め、情報化社会の実現に向けて多大なる貢献を成した。

早稲田大学においては、1997年および1999年にアジア太平洋研究センターの「アントレプレナーシップ・プログラム」にて講演を行うと共に、本学の進取の精神と起業家養成に取り組む姿勢に理解を示し、日米の次代を担う若者のアントレプレヌールの教育・研究活動の展開を支援することで、ひいては日米の友好関係がさらに醸成し、両国に繁栄をもたらすことを願って、2001年に本学に対して多額の寄附をされた。氏の寄附により2002年に設立されたロバート・J・シルマンホール棟では、現在に至るまで起業家育成支援および理工系先進研究活動が活発に行われている。

本学は氏のこれらの功績に対し、氏を校賓として迎えているが、氏はその後も本学に意を寄せ続け、米国から本学各キャンパスへの遠隔講演等を通じて本学学生の指導に尽力している。本学では米国における本学教員、学生の更なる教育研究活動支援や協定大学との共同事業支援等を目指してニューヨークオフィスを設立する。高等教育分野での国際化が進展する中、アジアのみならず米国における知の共創を目指す本学にとって、本学の教育研究活動に理解を示される氏に名誉博士の称号を贈呈することはまことに時宜にかなっているというべきである。

ここに早稲田大学総長、理事、監事、評議員など全学の教職員は一致してロバート・J・シルマン氏に名誉博士(Doctor of Science)の学位を贈ることを決議した。

学問の府に栄えあれ!
大学が栄誉を与えんとする者を讃えよ!

(Vivat universitas scientiarum! Laudate quem universitas honorabit!)

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