3月24日、ポーランド生まれの画家ミェチスワフ・コシチェルニャックの絵画をご紹介する展覧会の開幕式が行われました。今回のイベントは、ポーランド広報文化センター・駐日ポーランド共和国大使館・早稲田大学の共催、絵画の所有者で本学校友である野村路子氏のご協力により実現したもので、ナチス・ドイツの設置したアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制絶滅収容所(1940-1945)内の実態を描いたコシチェルニャックの作品19点と関連資料を展示しています。

ポーランド共和国 コザチェフスキ大使
開幕式には、ポーランド共和国、チェコ共和国の大使、イスラエル大使館の公使参事官など各国の代表者および鎌田薫総長が列席し、戦後70周年に際して、ホロコーストをはじめとする戦争の惨禍を忘れない決意を表明しました。ポーランド共和国のツィリル・コザチェフスキ大使は「憎悪・不寛容・差別がもたらした悲劇を、若い人に思い起こしてもらうことは意義深いことです」と指摘し、また鎌田総長は「戦争の悲劇を風化させないためにも、今回の展覧会を通じて、日本の若い世代にこの惨事を知ってほしい」と述べました。
また、みずからの危険を顧みず収容所の実態を伝えようとしたコシチェルニャックの意志を受け継いで、20年にわたって19点の絵画を大切に保管しながら各地での展示に協力してきた野村さんは、「収容されていた人々の目線で描かれた絵を、一人でも多くの人に見てもらいたい」と述べました。
絵画展にあわせて、4月18日には、70年前の出来事を再考しこれからの国際関係のあるべき姿を探るシンポジウム「『アウシュヴィッツ』は今、私たちに何を語るか」が開催されます。
野村氏は今年、この絵画を故国ポーランドへ里帰りさせることを決めています。「日本では最後の展覧会になるだろうと思います。戦後70年が過ぎましたが、世界のあちらこちらで紛争やテロは絶えません。そんな時だからこそ、多くの方、とくに戦争を知らない若者たちに、この絵の前に立ってほしい」と語りました。