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【Podcastコラム】怒りのコントロール

Wed 19 Feb 25

Wed 19 Feb 25

早稲田大学では現在、ポッドキャスト番組「博士一歩前」 を配信中です。

今回は配信中のエピソードのうち、教育・総合科学学術院本田恵子教授にご自身の研究について語っていただく中で、「怒り」をマネジメントする方法についてお話いただきましたので、その部分を抜粋してご紹介いたします。

エピソードの詳細は以下Webページからご覧いただけます(画像をクリックしてください)。

Q. 本田先生の中で特に近年、力を入れて取り組まれている研究テーマについて教えていただきたい。

本田 恵子 教授: 実行機能トレーニングです。アンガーマネジメントの話に戻ると、アンガーは脳の機能が引き起こしています。

脳は低次の脳と高次の脳があり、低次の脳が感情と自律神経系と行動なんです。怒るとすぐ行動、となってしまうのは、このオートマチック思考の中、刺激反応で行動になってしまっている部分をまずコントロールしないといけない。これがストレスマネジメントです。

そうすると大人のアンガーはまず深呼吸とよく言われますが、ストレスマネジメントが最初にあって、低次の脳が少し落ち着いてきたと。そうすると呼吸も荒いのが落ち着いてくる。体、緊張していますよね。それを緩めよう。力が抜けたらダンと叩くテーブルもトントンで済むので、体の力を抜こう。そこまで来ると肩から力が抜けるので、心臓から血が脳に上がります。そうしたらやっと高次の脳が動きます。

いわゆる人間の脳で言語と視覚が広くなる。一番大事なのが前頭葉という考える脳です。ここに制御機能、車で言えばアクセルとブレーキ。これからどうしようかと計画を組み立てる分野が前頭葉にあります。

ここが動けば自分の行動をアンガーマネジメントできます。どんな感情も持っていいよ、それをまず言葉にしようよ、怒っているとか悲しいとか悔しいとか寂しいとか。それをどうやって出したらいいだろう。寂しいなら泣き喚けばいいのか。悔しいなら相手から物を取ればいいのか。それは違うよねと前頭葉で考えて、物を取りたいけど手を止めよう。止めたけど相手が持っている物は羨ましい。じゃあどうしようかと頭の中で考える。そのためにも高次の脳が動かないといけない。

前頭葉の実行機能のトレーニング。ここが発達してないと最終的にはマネジメントできません。マネジメントができたら、自分で内的制御ができる。

それができないと外からの制御で行動規範があったり、大人がダメでしょと言ったり、物を取り上げたりとか。刑務所なんか最たる例です。

外的制御で縛られてる状況で何もできないからそこではうまくいく。だから刑務所の人たちはプログラムで徹底的に内的制御に変えます。「外からじゃなくて自分で変えるんだよ」、「自分で窃盗しないんだよ」、「自分で暴力を振るわないように」、「自分でアルコールの方に行かないように」など。制御する前頭葉のトレーニング。自分との会話です。

「何がしたいのか」、「本当にやりたいのか」、「本当に欲しいのか」、「これをやったら誰か悲しむんじゃないの」。それがセルフトークになります。

語り合っているうちに、「こんなところで物を取っちゃダメだよな」、「ここで物を壊したって一時的にはスッキリするかもしれないけど、後で落ち込むよな」、「弁償もしなきゃいけないしな」みたいなことを考える。そのために自己機能の前頭葉トレーニングをする。

アンガーマネジメントのプログラムを終えた子たちに自己機能プログラムを紹介して、ちょうどやっている最中です。変わりますね。こんなに変わるんだなというぐらいに。話し合いながら修正、一時停止とか。自己機能は始める・終える・一時停止・修正・いろんな計画を立てるとかがあり、これができるようになります。

そうしたら最後は仕上げになるので、そちらと連動した形で次のプログラムを考えている最中です。

本田 恵子 教授

早稲田大学教育・総合科学学術院教授。アンガーマネージメント研究会代表。公認心理師・臨床心理士・学校心理士・特別教育支援士SV。中学・高校の教師を経験したあと、カウンセリングの必要性を感じて渡米。特別支援教育、危機介入法などを学び、カウンセリング心理学博士号取得。帰国後は、スクールカウンセラー、玉川大学人間学科助教授等を経て現職。学校、家庭、地域と連携しながら、児童・生徒を包括的に支援する包括的スクールカウンセリングを広めている。

研究者データベースはこちら。

城谷 和代 准教授(番組MC)

研究戦略センター准教授。専門は研究推進、地球科学・環境科学。 2006年早稲田大学教育学部理学科地球科学専修卒業、2011年東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了博士(理学)、2011年産業技術総合研究所地質調査総合センター研究員、2015年神戸大学学術研究推進機構学術研究推進室(URA)特命講師、2023年4 月から現職。

研究者データベースはこちら。

 

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