私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に2件採択 政治経済学術院・文学学術院

文部科学省・平成26年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に、本学プログラムより2件採択が決定しました。

私立大学戦略的研究基盤形成支援事業とは、私立大学が各大学の経営戦略に基づいて行う研究基盤の形成を支援するため、研究プロジェクトに対して重点的かつ総合的に補助を行う事業であり、本学からは政治経済学術院の「理論とエビデンスにもとづく実証政治経済学研究の拠点形成」プログラムと文学学術院の「近代日本の人文学と東アジア文化圏―東アジアにおける人文学の危機と再生」プログラムが採択を受けました。

理論とエビデンスにもとづく実証政治経済学研究の拠点形成(政治経済学術院)
取組担当者(代表):小西秀樹 教授

研究目的・意義

当研究拠点は、近年グローバルに研究が進んでいる実証政治経済学(Positive Political Economy)の研究拠点を、政治学者と経済学者が共存する組織上の優位性を生かしながら、国内のどの研究機関にも先駆けて形成し、国際的水準で研究成果を発信し続けることを目的とする。本研究では、それぞれを別個にしか捉えてこなかった政治学、経済学のアプローチを、政治と経済の同時均衡という視点から、経済理論とゲーム理論の応用によって統合し、新たな理論を提示すると同時に、計量分析、実験、世論調査、事例研究といった最新の多彩な検証手法によるエビデンスの提供を、政治経済学における一規範として確立する。さらに、理論とエビデンスのフィードバックによって新たな知見を創出し、現代の政策課題にも焦点を当てた社会貢献的研究も広く発信する。

研究により期待される効果

理論とエビデンスの相互フィードバックによって政治経済現象に統一的な視点からアプローチする当研究拠点は、とくに財政金融政策、外交政策、自由貿易、社会保障改革といった現代日本の重要な政策課題に焦点を当てた分析において、学術及び実社会に有益な研究成果や政策提言を生み出し、政策論争や政策立案にも大きなインパクトをもたらすと期待される。さらに成果を国際的に発信し実績を積み上げることで、実証政治経済学という、国内では未だ研究者層の薄い領域を国内学術界に本格的に根付かせ、発展させる。政治と経済の相互依存関係のもとでの内生的な制度選択や経済的帰結という観点は、文化や地理など外生的要因を強調してきた伝統的な経済発展論や歴史研究などの他分野においても新たな研究を促進する可能性がある。若手研究者育成の点でも、本プロジェクトで展開された分析手法や基礎概念が実証政治経済学研究の一規範として確立され、高等教育における数量的手法にもとづく実証政治経済学教育の参照基準が形成できる。

近代日本の人文学と東アジア文化圏―東アジアにおける人文学の危機と再生(文学学術院)
取組担当者(代表):李成市 教授

研究目的・意義

日中、日韓の関係を繋ぐ相互信頼の精神的基盤として人文学に寄せられる期待は大きい。近年の軋轢の原因ともなっている「歴史認識問題」の基底には近代日本が構築した国民主義的歴史学があり、中国、韓国の歴史学はそれらの知的基盤を日本から受容している。つまり、東アジアの人文学は近代国民国家の形成期に帝国主義的な発展を遂げた日本の学知をモデルに成立したと言える。しかし国家の枠組が衰退した現在、相互に知的範型を共有している東アジア文化圏では、その危機感が薄く問題の所在が不明確である。このような知見に立って、東アジアの人文学をリードしてきた日本の人文学を検証し、21世紀に相応しい新たな人文学の創出を提唱していきたい。

研究により期待される効果

東アジア諸国における国民国家を基盤とし、植民地主義の衝撃を大きな契機として展開してきた20世紀の人文学を克服する新たな人文学の提唱をめざす。この共通テーマに向けて、20世紀の人文学を批判的に検証し、東アジアにおける現実的な課題と人文学の役割を明確にした上で、それらの成果を東アジア地域で培ってきた普遍的な叡智に基づく新たな人文学のモデルに結実させる。それと同時に近代日本が先導した20世紀の人文学を、東アジア諸国の留学生を惹きつけた早稲田大学の人文学のあり方を自己批判的に検証することによって、東アジア地域における植民地主義を克服し、国民国家を基盤にした人文学からグローバル時代が要請する新たな人文学へと知的範型の転換を図る。また、海外連携機関と共同で行う実証研究によって、人文学をとおした相互信頼の醸成を目指す。本研究により今日的課題への貢献を行うともに、若手研究者の育成にも資する新たな人文学研究の国際連携拠点を形成する。

リンク

文部科学省 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業

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