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西早稲田駅の階段を、アートで彩る

LightUp Galleryプロジェクト 卒業生インタビュー

  • #施設と風景
  • #校友

Wed 19 Jun 24

LightUp Galleryプロジェクト 卒業生インタビュー

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Wed 19 Jun 24

東京メトロ副都心線・西早稲田駅の階段には現在、アーティスト・伊賀 敢男留さんの作品『みどりの風』がラッピングされています。地域社会に貢献する「LightUp Galleryプロジェクト」の一環であり、その裏側には二人の卒業生、平原 依文さん(2016年国際教養学部卒業)と國領 実果さん(2024年基幹理工学部卒業)の活躍がありました。

本記事では二人へのインタビューを通じ、アートがもたらす地域貢献の可能性についてお届けします。

左:平原 依文さん 右:國領 実果さん

左:平原 依文さん 右:國領 実果さん

世界中の“境界線”を溶かす、HI合同会社の事業活動

HI合同会社で代表を務める平原 依文さんは、国際教養学部卒業の若手起業家だ。「世界中の境界線を溶かす」というパーパスのもと、企業や自治体、学校・教育機関に対して、SDGsの講演やコンサルティングを行っている。Forbes JAPAN 2021年度「今年の顔 100人」に選出されているなど、社会的な注目度も高い。

平原:
HIのパーパスである『世界中の境界線を溶かす』は、私の夢でもあります。社会には多くの境界線が引かれ、性別や世代、障がいの有無などにより、人々が断絶しつつあります。この境界線を取り払い、溶かすべく、さまざまな事業を展開するのが、活動の主軸です

一方、今年3月に基幹理工学部を卒業した國領 実果さんは、現在広告代理店に勤務。在学中、研究活動で渡航したタイで、平原さんと出会ったという。

國領:
情報通信学科で無線通信の研究をしており、3年生の時にタイで開催されたICT人材育成プログラムに参加したんです。イベントでは平原さんがゲストスピーカーとして招致されていて、空港で偶然出会いました。フラットに私と話をしてくれる平原さんに憧れ、就職活動の終了後に、HIのインターン生として活動を開始。もともと言葉を扱う仕事がしたかったので、レポート作成やコンセプト設計のお手伝いをさせてもらっていました

ふとした縁がきっかけとなり、意気投合した二人。さまざまなプロジェクトで共に働く中、「LightUp Galleryプロジェクト」にも参画することになる。

西早稲田駅の階段に描かれた『みどりの風』

西早稲田駅の階段に描かれた『みどりの風』

街をアートで照らすLightUp Galleryプロジェクトを、早稲田でも実現させる

「LightUp Galleryプロジェクト」は、「まちも、ひとも、アートで照らす」をコンセプトに、JT(日本たばこ産業株式会社)と共同で地域社会に貢献するプロジェクトだ。喫煙所をはじめとした“まちかど”に、アート作品をラッピングすることで、地域に価値を加えている。平原さんはHI合同会社としてプロジェクトの立ち上げ時から、共創メンバーの一人として携わってきた。

平原:
新規事業を模索するJTさんと、あるテレビ番組で出会ったんです。私はタバコを吸いませんが、駅や公園など人が集まる場所に設置されている喫煙所に、一種の可能性を感じました。一方で、喫煙所の壁は、喫煙者と非喫煙者の境界線にもなっています。壁の内側はタバコを吸う人のために使われているけれど、外側は地域のために活用できるかもしれない。そこでアートのラッピングという企画をJTさんに提案し、『LightUp Galleryプロジェクト』が始動しました

「LightUp Galleryプロジェクト」はこれまで、全国各地の喫煙所を中心に展開されてきた。ジャイアントパンダで有名な和歌山県白浜町のテーマパーク アドベンチャーワールドでは“生命”、海洋プラスチックごみが課題化している長崎では“海”をテーマにするなど、その地域ならではの作品が、人々や街をつなぐ起点になっている。こうした活動の一環として、高田馬場駅前のロータリーも舞台となった。

平原:
ロータリーは早大生にとって、待ち合わせや新歓活動など、思い入れの強い場所。一方でゴミや吸い殻の投棄には課題も感じていて、LightUp Galleryプロジェクトを展開しました。その後、もっと早稲田大学に近い場所で活動をしたいと、理工学術院の朝日透教授に相談。大学の職員さんにつないでいただき、西早稲田のプロジェクトが実現したんです

平原 依文さん

平原 依文さん

歩く人たちの“らしさ”から、ワクワクする景色が生まれる街

西早稲田のLightUp Galleryプロジェクトでは、「らしさ」がテーマとなっている。駅に掲示されるステートメントを作成したのは、当時学生だった國領さんだ。

https://www.hi-parters.com/lightupgalleryより

https://www.hi-parters.com/lightupgalleryより

國領:

早稲田を歩く人たちの“その人らしさ”を、コンセプトの中心にしました。通りかかった人がステートメントを読んだ時、『これは自分のことだ』と感じてもらいたかったんです。早稲田の街では、図面の入ったケースを抱える建築学科の学生、白衣を着ている化学科の学生、サークルのTシャツを着ている学生など、さまざまな個性が交差します。学生同士が出会うことで早稲田祭の企画が立ち上がったり、地域の飲食店とコラボレーションが生まれたりと、可能性も無限大です。それぞれの“らしさ”を発揮して、讃えあうことで、文化が育まれている。こうした思いを文章化したのが、今回のステートメントです

プロジェクトには、「異彩を、放て。」をミッションに掲げる、知的障害のある作家のアートエージェンシー、ヘラルボニーも参画している。今回の『みどりの風』を描いたのは、伊賀敢男留さん。自閉症のある異彩作家の一人だ。伊賀さんのクールかつ独特な色づかいは、西早稲田駅の階段を異空間に変えた。

國領:

作品をラッピングしたのは、西早稲田駅からキャンパスに直結する階段です。朝に授業へ向かう際に登る学生が多いのですが、どことなく足取りが重くなるような、無機質な空間なんです(笑)。伊賀さんの作品は、そんな階段を彩り、『今日はどんな早稲田が待っているんだろう』と、軽快に駆け上がりたくなる気持ちを与えてくれます。ステートメントの文章にも、そんな空気感を込めました。コンクリートがメインの西早稲田キャンパスに、落ち着きのあるグリーンが溶け込んでいるのが、個人的に大好きです

國領 実果さん

國領 実果さん

挑戦にチャンスを与えてくれるのが、早稲田大学の魅力

描いたビジョンを形にしながら、自己実現と社会貢献を両立させる二人。最後に、現役の早大生に向け、メッセージを贈ってもらった。

國領:

早稲田大学に感謝しているのは、『好きなことをやりなよ』という言葉だけでなく、実際にチャンスを与えてくれること。タイに行けたのも研究室が推薦してくれたからですし、LightUp Galleryプロジェクトも大学が場所を提供してくれたから実現しました。自分がチャレンジしたいことを臆せずに伝えれば、必ず誰かが後押ししてくれるんです。早稲田にはさまざまな志向やキャリアを持つ人がいると思うので、出会いを大切にしてほしいですね

平原:

早稲田の後押しは、私も感じていました。大学入学前から起業したいと考えていたのですが、その旨をゼミの先生に伝えたところ、『週2日で授業を組んだ方がいい』と教授らしからぬアドバイスをしてくれたり、卒業論文の担当教授はローマ史が専門なのに、起業の着眼点を一緒に考えてくれたりと、みんな親身なんです。社会に出てからも早稲田の卒業生はさまざまな領域で活躍していて、ポジティブに協業できる人が多いです。現役の皆さんもつながりを大事にしながら、本音を周りに伝えてみてください

左:平原 依文さん 右:國領 実果さん

左:平原 依文さん 右:國領 実果さん

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