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ビジネスリーダーからのメッセージ
Thu 21 Sep 23
Thu 21 Sep 23
ビジネスリーダーからのメッセージ
様々な「個」の力を結集し、チームとして未来を切り拓け
漆間 啓 三菱電機株式会社 取締役 代表執行役社長, CEO
現代は、まさにVUCAの時代です。ウクライナ戦争、米中関係悪化といった世界規模での地政学的なリスクの高まり、日本国内においては、経済の低成長、少子高齢化の問題等に直面しております。産業界においては、100年に一度の大変革と言われる電気自動車、自動運転へのシフト、半導体業界の再編等が急速に進んでいます。又、財務的な価値を最大化していくという従来からの企業経営に加え、SDGs、ESGといったサステナビリティ視点の非財務的な価値が経営の必要不可欠な一要素として加わって来ています。このような現状は、早稲田大学の在校生の皆様を含め、これから社会人となる方々全てが、直面していかねばならないテーマになります。私が早稲田大学を卒業した1982年当時よりも、はるかに複雑な経済的、政治的環境下において、先が不透明で答えのない、より多くの課題に相対せねばならない状況であることは間違いありません。
そのような世の中で、勝ち残り、成果を出し続けていくには、物事を「自分事」として捉え行動していくことが必要です。「指示待ち」「言われないと動けない」といった姿勢では命取りになります。個として、「何を目指して行くのか」「どうして行きたいのか」がより一層大切になって来ています。その上で、「個」が結びつき、強いチームとして物事に対峙して行くことが求められています。当社でも、現在、皆の「パーパス」を問う経営を志しています。最終的には、従業員一人一人が自分のパーパスを「事業を通じて社会課題を解決する」という全社の目標と結びつけて仕事が出来る会社にして行きたいと考えています。不透明で複雑な課題に対しては、様々な「個」の力を結集し、チームとして自ら未来を拓いていくしか無いからです。
本年度の入学式の式辞で田中総長は、就任以来「たくましい知性」を鍛え「しなやかな感性」を育んで欲しいと新入生に語られていました。「たくましい知性」とは答えのない問題に自分で考え自分としての解決策を見出す能力」。「しなやかな感性」とは「個」を大切にしたダイバーシティを受け入れることそのものだと感じ、今まさに私が目指している姿と重なりました。
在校生の方々、そしてこれから早稲田大学に入学され多くの事を学び、経験されていく皆様方におかれましては、是非、「たくましい知性」と「しなやかな感性」を身につけ、「個」として生きる上での、「パーパス」を考え、見つける事が出来ることを期待しております。
*VUCA:V(Volatility:変動性)、U(Uncertainty:不確実性)、C(Complexity:複雑性)、A(Ambiguity:曖昧性)

1982年早稲田大学商学部卒業。
卒業後、三菱電機株式会社に入社し、名古屋製作所でキャリアをスタート。Mitsubishi Electric Europe B.V.取締役社長、FAシステム事業本部長、社会システム事業本部長、経営企画室長などを経て、2021年7月より執行役社長に就任。一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構理事長、公益財団法人発明協会副会長等兼職。
