―これまでの経歴について教えてください。
京都の大学を卒業後、神戸にある地方自治体関連団体での勤務を経て既卒採用で入職しました。国際部国際課、学生部異文化交流センター(以下ICC)、大学院経営管理研究科(以下WBS)、大学院日本語教育研究科にて勤務し、現在は入学センターで国際アドミッション担当課長を務めています。
―現在の業務について教えてください
入学センター・国際アドミッションズオフィス(以下IAO)では、主に海外を対象とする入試のとりまとめやリクルート活動を所管しています。早稲田大学は国内では一定の知名度を誇りますが、海外に向けた学生募集活動では本学の存在を知ってもらうところから始まります。グローバルな学生の獲得競争が進んでいる中で、どのようにして多様で優秀な学生を迎え入れられるか、非常にチャレンジングでやりがいのある仕事だと感じています。私自身は、メンバーがそのような業務に邁進できるよう、課題の整理や部門間の連携強化にも取り組んでいます。

入学案内パンフレットが並ぶ早稲田大学歴史館にて
早大生ならではの発想の豊かさ・柔軟さ・バイタリティ
-特に印象に残っている経験を教えてください。
2006年のICCの立ち上げが印象に残っています。ICCは、キャンパス内の異文化交流を促進するための組織で、職員の発案により設置されました。このように、職員が発案した企画が実現されていくところは、早稲田らしい風土だと思います。当初は管理職1名と専任職員1名、学生スタッフリーダー7名でスタートしました。このような組織は国内の他大学には前例がなく、未知の海に漕ぎ出していくような経験でしたが、一から企画を考えて実行し、振り返っては改善するというサイクルを繰り返し、試行錯誤を重ねながら質・量ともに活動の拡充を図っていきました。「なぜこれをやるのか」「どうすればうまくできるか」と一つひとつ自分で考えて進めていったことは大変得難い経験で、手痛い失敗なども含め、すべてがその後の業務に生きる自らの血肉となっていった実感があります。
学生スタッフリーダーは公募制でしたが、毎回採用人数の10倍ほどの応募がありました。様々なバックグラウンドを持つ前向きな学生と関わる中で、早大生ならではの発想の豊かさや柔軟さ、バイタリティにいつも刺激と感銘を受けていました。指導・育成しているつもりでいましたが、今振り返ってみると彼らから教えられたこともたくさんあります。
どんな企画でも異文化交流・異文化理解の哲学が必要
-新しい組織の立ち上げの中で工夫されたことがあれば教えてください。
「留学生と日本の学生がキャンパスで交流を深めながら異文化理解を育む」という大きな目的の下、様々な企画を立てましたが、ともすればイベントのためのイベントになってしまいがちなことに気がつきました。目的を達成するための手段は何通りもあり、目指すべき到達点もかなり幅広い捉え方ができます。スポーツや音楽といった学生の関心を喚起するテーマであっても、一つひとつの活動意義や趣旨を精査し、「その企画で何を目指すのか」「大学の機関であるICCがやる意義はなにか」「学生にどのような学びや気づきが生まれるか」といった、どこかに必ず異文化交流・異文化理解に通じる哲学のようなものが通っていることが必要です。一見華やかなイベントを手掛ける部署だけに、主催側が浮つかず地に足をつけると同時に、参加者のために楽しめる場を生み出す、という意識や温度感をスタッフが持つよう、いつも気を配っていました。
組織としての経験を積み重ねるにつれ、企画内容も少しずつ進化していきました。大手企業とのコラボレーション企画が生まれたり、テレビ局などメディアの取材を受けたりするようにもなり、学生に向けた交流機会の拡充とともに、職員としての仕事の広がりを感じることもできました。
相手の心のありようを考える
-その後の業務に活かすことができた学びがあれば教えてください。
私はICCに配属される前はどちらかというと合理性や効率性を重視して業務を進めるタイプでした。「課外活動」という強制力のない分野で、「早大生のやる気スイッチはどこにあるのか?」「どうしたら課外活動でも本質的な学びや成長の場を創れるか?」ということを考え続けた結果、人の気持ちや心のありようを考えないとなかなか物事は上手くいかないし、効果も上がらないと思うようになりました。日々成長していく学生の姿を目の当たりにし続けたことも大きかったと思います。その後、所属部署や接する相手が変わってもこのことは変わらず、のちに携わったWBSの組織再編の際には、それぞれの組織の個性や先生方の気持ちを最大限意識しました。現在のIAOでの業務では、管理職としてメンバーの気持ちを考えながら、海外から本学を目指して来てくれる志願者の夢や期待に応えられるよう仕事を進めています。気持ちが届かないことも、またシビアな判断をしなければならないこともありますが、少なくとも相手の心のありようを考えながら仕事をしていきたいと思っています。

ICCの定番企画に育った「にほんごペラペラクラブ」(2013年当時)
「チャレンジ」「気概」、そして「健やかに働く」
-早稲田大学職員を目指す皆さんへメッセージをお願いします。
大学職員の仕事は本当に多岐にわたります。ルーティン業務が多いと想像される方もいるかもしれませんが、社会情勢やトレンド、学生の気質や風潮、また、業務で使用するICTツール等もどんどん変化・進化していくため、去年やっていたことをそのままやればよいといった業務はないと思います。新しく組織を立ち上げたり再編したりといった目に見える大きな変化に携わる業務もありますが、実は、地道に下支えするような業務にこそ、全体を俯瞰した、地に足をつけた改革マインドが求められる気がしています。そういった気概を持った方にぜひチャレンジしていただきたいです。
また、学生の学びと成長、先生方の研究をサポートする立場の職員ですが、その職員自身の働き方に関する取り組みや施策も活発になってきています。「より健やかに前向きに、お互いを認め合って働けるようにするには何ができるか?」といった観点でさまざまなトライアルが今まさに進行中で、私自身今後の展開が楽しみです。「チャレンジ」「気概」、そして「健やかに働く」、このキーワードに反応された方、ぜひそんな職場を一緒に作っていきましょう。皆さまのご応募を心よりお待ちしております。