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共に切り拓く モビリティとその先へ

一般社団法人日本自動車工業会主催 大学キャンパス出張授業2022

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Fri 23 Dec 22

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Fri 23 Dec 22

2022年12月15日(木)、一般社団法人日本自動車工業会主催による大学キャンパス出張授業2022にて、日産自動車株式会社取締役、代表執行役社長兼最高経営責任者、日本自動車工業会 副会長である内田誠さんが早稲田大学に来校し、井深大記念ホールにて「共に切り拓く、モビリティとその先へ」というタイトルで講演が行われました。

当日は、早稲田大学を卒業し、現在、日産自動車に勤めておられる現役社員の皆さんも来校し、参加した学生と交流を図りました。また、井深大記念ホール前には同社の最新車両が展示され、来場者が観覧したり乗車体験したりしました。

持続的な地球環境が整えられなければ、ビジネスは継続できない

「父親の仕事の関係で、小学生時代にエジプトで暮らしていた時にはアラビア語が喋れないと大変でした」と自己紹介を始めた内田社長。その後、帰国して暮らした大阪では関西弁に苦労し、中学・高校時代には二度目の海外生活となるマレーシアのアメリカンスクールで英語に苦労しながらも、多様性豊かな文化空間に触れて、自分の価値観が形成されたと語り、自身の経験を振り返りながら講演の幕を開きました。

日産自動車の長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」のスローガンであり、今回の講演タイトルでもある「共に切り拓く、モビリティとその先へ」を来場した早大生に伝えるために、まず自動車産業そのものの歴史を振り返り、「自動車の発展がもたらしたものは、便利な生活だけでなく、公害や交通事故などの社会問題も引き起こしました。大切な人を傷つけたり、命を奪ったり、地球を破壊したりする。これを改善し、より快適な未来や生活を築こうと追及してきたのが自動車業界です。」と学生たちに語ります。

「自動車業界は、今まさに、100年に一度の大きな変革期を迎えています。持続的な地球環境が整えられなければ、ビジネスは継続できないことを、世界中の人々や国が認識しています。企業は、今何をすべきか、真剣に考える必要があるのです。」と言葉に熱が入ります。さらに、自動車業界を取り巻く変化を挙げて、「社会課題、高齢化、慢性的な渋滞、過疎地における交通手段。これらの課題に直面した顧客は、その意識や価値観の変化が進み、物やサービスを選ぶ際にはこれまでの利己的な考え方から、環境問題や社会課題に重点を置く人々が増えています。」と、現代の企業は、社会に貢献し必要とされる存在にならないと生き残ることが難しい、と自動車業界を牽引するリーダーの一人として学生たちに訴えかけました。

自身が率いる日産自動車では、常に世界初の技術にチャレンジし生み出してきた社風とその技術力を駆使して「環境に優しく、だれもが安全に移動できる社会を実現し、その多様な価値観を認め合う社会を構築するために、志を共有し取り組む仲間を得ていくことを重要と考えています。」とし、その実現のためには多様なバックグラウンドを持ったスタッフが集い、一人ひとりがその能力を最大限に発揮できる環境を作ることが重要だと強調しました。

 

日産自動車株式会社、代表執行役社長兼最高経営責任者、日本自動車工業会 副会長 内田誠さん

日産自動車株式会社、代表執行役社長兼最高経営責任者、日本自動車工業会 副会長 内田誠さん

多様性や、人の価値を重んじる日産自動車でありたい

最後に、来場した早大生に向かって「会社は環境の変化を乗り越えて成長し続ける必要があります。変革の時こそ、チャンスが生まれます。主体的に一人ひとりが取り組むためにも、多様なアイディアを持つ様々なタイプの人材が、今の時代には求めてられています。」と語り、学生時代に勉強、部活、趣味など、誰にも負けない経験と強みを持って社会に出たときに必要とされる人材になることを願っていると、これから社会に出ようとする学生たちにエールを送りました。

講演終了後、早大出身で現在、日産自動車に勤める3名の卒業生とともに、来場した早大生からの質問に応えました。

自身のこれまでの歩みを振り返り、どのような人材を求めているかと問われた内田社長は、「人が会社を動かしている。だからこそ、多様性や、人の価値を重んじる日産自動車でありたいと考えています。と同時に、多様性が豊かであることで日産自動車らしくありたい。学生の皆さんには、若いうちにはいろんなことに興味をもって、一つのことだけに留まらずに、俯瞰してその先のさらにその先を見据えて頭の中で想像できるように、アンテナを高くしてほしい。さらに、多様な人を見ることで、多様な人に魅力を感じていく。この人だから頑張ろうと思われるような、魅力ある人間になっていく。こういう人がリーダーになっていくと思うのです。」と、豊かな多様性が魅力ある組織や会社を築くその礎であると、その想いを伝えました。

またさらに、半導体供給不足、為替変動、地政学的なリスク、気候変動、規制の変化などの様々な問題に直面している現状に触れつつも「(コロナ前となる)3年前には戻れるとは思いません。だからこそ、今の社会や環境のなかで、どうやって価値を上げていくことが出来るのか。そのためにはそれぞれのマーケットにおいて、必要とされる価値を作ることが企業の持続性には重要です。この厳しい環境のなかで、多様性を力に変えて日産自動車の発展に変えていきたいのです。歴史と自負を持つ日産自動車にしかできない領域をさらに高めつつ、同時に変化を受け入れるキャパシティをきちっと持ち続ける組織であることをこれからも両立していきたい。」と答え、今回の講演会を終了しました。

内田誠(うちだまこと)
日産自動車株式会社 代表執行役社長兼最高経営責任者
一般社団法人 日本自動車工業会 副会長
1966年7月生、同志社大学神学部卒業1991年4月日商岩井株式会社(現在の双日株式会社)入社2003年10月日産自動車株式会社入社2016年11月常務執行役員に就任し、アライアンス購買を担当、2018年から専務執行役員として中国事業を統括2019年12月現職の代表執行役社長兼最高経営責任者に就任

早稲田大学は古くから、自動車関連技術に関して日産自動車と数多くの共同研究の実施、講師派遣、技術指導、社会貢献分野での協力など、様々な形式で教員、研究者、学生と共に連携を深めて参りました。近年では、2017年から理工学術院の山口勉功研究室と共同で、早大の大型炉設備を使用し、電動車用のモーターの磁石からレアアース化合物を回収する研究を日産自動車と開始しています。2021年9月にこの研究を基に、電動車用のモーター磁石からレアアース化合物を高純度で効率良く回収するリサイクル技術を共同開発し、2020年代中頃の実用化を目指した実証実験を開始したと発表しました。

参考:

早稲田大学WEBサイトhttps://www.waseda.jp/top/news/74644
日産自動車WEBサイトhttps://global.nissannews.com/ja-JP/releases/210903-01-j

早大卒業生の日産自動車社員の皆さんと内田社長によるQ&Aセッション

早大卒業生の日産自動車社員の皆さんと内田社長によるQ&Aセッション

日本自動車工業会 大学キャンパス出張授業2022

一般社団法人日本自動車工業会は、若者の「クルマ・バイクへの関心醸成」「自動車産業・ものづくりへの理解促進」を目的として、全国の大学と連携して『大学キャンパス出張授業』を2013年から実施しています。
各自動車会社のトップがキャンパスに赴き、クルマ・バイクの魅力、グローバル戦略、日本のものづくり、車社会の未来等についてトップみずから大学生に直接語りかけるこの企画は学生たちに好評を博しています。10年目となる今年も早稲田大学はじめ、各地の大学で開催予定です。

日  時:2022年12月15日(木)16:30~18:00
開催場所:早稲田大学 井深大記念ホール
対  象:早稲田大学学生
講演テーマ:「共に切り拓く、モビリティとその先へ」
講 演 者:内田 誠(日産自動車株式会社、代表執行役社長 兼 最高経営責任者)
主  催:一般社団法人自動車工業会 日産自動車株式会社
共  催:学校法人早稲田大学 次世代自動車研究機構

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