単一ドーパント原子が制御された量子デバイスを開発 高等研究所・品田賢宏准教授らの国際共同研究チーム

早稲田大学高等研究所 品田賢宏准教授、早稲田大学理工学術院理工学研究科博士課程・堀匡寛さん、イタリア学術研究会議 Enrico Prati 博士らの国際共同研究チームは、半導体集積回路に用いられるトランジスタ中のドーパント原子を制御し、量子輸送現象の観測に成功しました。研究チームは、2011年12月6日から米国ワシントンDCで開催された国際電子デバイス国際会議 (International Electron Devices Meeting: IEDM) において、研究成果を発表しました。

1947年にトランジスタが発明されてから、徹底した微細化によって集積回路の高性能化が実現され、過去50年以上にわたり半導体産業は急速な成長を遂げてきました。現在、トランジスタの寸法は30nm以下、10億個に及ぶ素子が集積され、情報エレクトロニクス社会の根幹を担っています。

従来、トランジスタの閾値電圧 (オン/オフ電圧) を設定するためにドーパントが添加されてきました。しかし、極度に微細化したトランジスタでは、ドーパントがランダムに分布しているために、閾値電圧のばらつきが深刻な問題となっており、ドーパントを使わないデバイス開発が課題となっていました。

品田准教授らの研究チームは、トランジスタ中のドーパントを1個ずつ制御し、1次元配列構造を作り込むことで単一ドーパントを介する量子輸送現象の観測に成功しました。現象自体は既に知られていましたが、偶然、観測されるに止まっていました。単一ドーパント原子デバイスの実現性を高め、新しい原理に基づくデバイス開発に弾みを付ける成果です。

本研究は、主に米国セミコンダクターリサーチコーポレーション (課題番号1676.001) 、文部科学省科学研究費基盤 (S) (課題番号23226009)、若手研究(A) (課題番号22681020) 、およびイタリア外務省日伊エグゼクティブプログラムの研究助成を受けて実施されました。

以上

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