顕彰状 李遠哲氏

李遠哲氏は、1936年11月19日、台湾新竹に生まれた。1959年に国立台湾大学を卒業し、国立清華大学(台湾)大学院に進学した。修士課程修了後、米国カリフォルニア大学バークレー校で化学を専攻し、1965年に同大学において博士学位を取得した。その後、イオン・分子反応における反応性散乱実験に関する数々の業績を重ね、ハーバード大学でのリサーチ・フェローを経て、1968年よりシカゴ大学助教授に就任した。同大学において、自らの研究室を北米における分子線研究の一大拠点として発展させた後、1974年に母校であるカリフォルニア大学バークレー校に教授として赴任するとともに、同大学ローレンス・バークレー研究所の主任研究員を兼務した。李博士は同大学において、交差分子線に関する研究に加えて、反応動力学や光化学反応における初期過程、イオンおよび分子クラスターの分光など、新たな研究分野を開拓した。1994年、台湾中央研究院の院長に就任するため、カリフォルニア大学バークレー校教授の職を辞し、台湾に帰国し、現在に至っている。

博士の長年にわたる学問の追求は、これまで人類の科学分野の発展に大きく貢献してきた。こうした功績が世界的に大きく評価され、1986年には「化学反応素過程の動力学的研究」でノーベル化学賞を受賞した。また、米国国家科学賞(National Medal of Science, White House)、英国王立化学協会ファラデー賞など数多くの栄誉ある賞を授与されると共に、米国ハーバード大学をはじめ著名な大学・研究機関等から名誉博士号が多数贈呈されている。世界的に最も著名な科学者の一人として、学問の発展に果たした功績は長く歴史に刻まれるものである。

博士は科学者として、人類社会のための学問の発展に力を注ぐ一方、1994年の帰国後は、台湾中央研究院院長の要職に就き、自らの学問への弛まぬ情熱と強力なリーダーシップにより、同研究院を世界的な研究機関に育て上げた。また、博士は自由で公正な活力ある社会の実現に深い関心を注ぎ、台湾の教育改革や9・21大震災の復興支援などにおいて、自ら中心的な役割を果し、台湾社会の発展に大きく貢献した。他方で、博士は、日本に対しても深い関心と広い知識を有し、これまで日本との学術交流活動に対して、主導的な役割を果してきた。アジア太平洋地域における「知の共創」を目指す本学としては、このようなアジアを代表する科学者であると同時に、日本との学術交流に多大な貢献をされてこられた李遠哲氏に名誉博士の称号を贈呈することは誠に時宜にかなっているというべきである。

ここに早稲田大学総長・理事・監事・評議員ならびに全学の教職員は一致して

李遠哲氏に

名誉博士(Doctor of Science)の学位を贈ることを決議した。

学問の府に栄えあれ!

大学が栄誉を与えんとする者を讃えよ!

(Vivat universitas scientiarum! Laudate quem universitas honorabit!)

2004年4月1日
早稲田大学
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WASEDA University

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