2017年度卒業設計 稲門建築会賞受賞作品
敷地には、かつて水路が流れ、橋が存在した。この場所は江戸前島と埋立地の境であり、また日本最古の地下街として奇跡的に残るこの場所が今、失われようとしている。そこで橋、川、地下という要素を再構成し、新たな娯楽空間として歴史を繋ぐ。
また、日本の美術業界の抱える問題点を美術館の在り方から解決することを目指し、オークションや美術教育、ギャラリーをもつ複合施設として新たなプログラムを提案した。
同時に、地下や美術館という従来閉ざされた場がいかに都市性を持ちうるかを考え、地上と地下、そして内部と外部を緩やかに連続させた。銀座の街なみを形成する曲線や、かつての水の記憶からカタチを抽出し、メビウスのように一本のスロープが上下を繋ぐ。そして銀座のグリット状の街区からスラブの連続により内部空間を構成した。外部と内部で異なる形態を用いつつも同じ概念をもつ。
彫刻広場は銀座駅と東銀座駅の地下通路に接続し、また上に掛かる道路からも作品が鑑賞できるため、日常とアートの距離を近づけ、銀座を訪れる人々に広く開かれる。都市性をもつ美術館の存在は、日本の芸術文化の豊かな未来を育み、銀座から世界にむけアートを発信し続けるだろう。
[敷地]銀座・三原橋地下街跡地
[用途]美術館