都市の中で感じる息苦しさの原因は、商業主義によるサービスを受け取るだけの受動的な空間に溢れているためと考える。これを解消するため、所有が曖昧で利用の目的の定まっていない会所地のような空間を包含する都市空間を提案する。
計画地は東京都中野区にある西武新宿線沼袋駅周辺。この駅は2028年に地下化される予定である。この線路跡地に農地、林、住宅、コワーキングスペースを配置した。
西武新宿線は戦時中都内で処理に困っていた糞尿を沿線の農地へ肥料として運び、沿線の農業と関わりのあった路線である。
沿線で行われている農業は江戸時代に区割りされた短冊状の敷地に住宅、農地、林を順に配置している。林や農地は散歩道として利用されたり、子ども達の遊び場になっている。私はこれに会所地性を見出し、線路跡地に配置することで、都市の中に能動性を取り戻そうとした。