2018年度卒業設計 稲芽会賞受賞作品
ニュースで取り上げられている通り、中野区(酒井区長)は区役所の移転と新築、サンプラザの解体、1万人規模のアリーナや超高層ビルの新設等を検討しているが、住民からはランドマークであるサンプラザは保存して欲しいとか、大規模なアリーナは望ましくないといった意見も多く出されている。私も同感である。
本案はビジネス、教育、商業、生活といった、複合的な機能を有する中野に相応しい都市とは何か、記憶を継承しつつ新たな街の魅力を創造するにはどのようにしたら良いかを考え、既存計画とは異なるアプローチで都市空間を提案するものである。
対象を中野駅北口(4丁目地区)として、サンプラザを保存・改修するとともに、利便性の高い区役所機能や商業空間を有する低層の建物、音楽ホール及び公共空間からなるプラザ(Plaza Etoile)を計画、デザインした。Etoileはパリのエトワール広場に由来する。サンプラザ地上階は北に貫通するプロムナードとなり、ホール跡は中野区の本会議場や委員会会議場の空間となる。役所の住民サービス窓口は新規に計画される商業施設と空間を共有し、全て駅近に分散配置される。また、人の目では見ることができないが、サンプラザ立面の特徴的な台形は、新築する建物の平面計画上に現れる。即ち、次の数十年でサンプラザが取り壊されても、その造形的特徴は地図上に残るということ。
本計画は持続可能で成熟度の高い社会に合致し、また多くの民意にも沿う空間の1モデルとなることと期待する。
[敷地]東京都中野駅北口(中野4丁目)
[用途]区議会場 区役所 商業施設