2025年9月17日(水)、当センターと料飲稲門会の共催により『目指すべき日本の食の姿』シンポジウムを開催しました。
本シンポジウムでは、主催者である当センター副所長の竹山春子 理工学術院教授からのご挨拶の後、ロイヤルホールディングス株式会社の菊地唯夫 代表取締役会長・料飲稲門会会長より「食産業の持続的成長に向けて」と題した基調講演がありました。
基調講演では、今後外食産業は人口減少等に起因する産業構造の歪みにより、従来までの規模拡大による成長が通用しにくい時代となっており、限られた人員でもテクノロジーで調理や発注業務などの基盤業務を支え、人間は感情労働(ホスピタリティ)に集中することで“量”から“質”へと価値の転換を図る必要があるとの考えが示されました。こうした取り組みを通じて経済価値と社会価値を両立させ、ステークホルダーとの関係において、企業が「選ぶ側」から「選ばれる側」となれるような発想の転換を実現させることこそが持続成長の鍵であるとの結論が示されました。
基調講演に続き、アカデミア、データ分析やDX等のテクノロジー、地域、金融・制度等の多様な観点から食に関わる以下の話題提供がありました。
・「食を支える農業土壌の評価方法への挑戦」
竹山 春子(早稲田大学 理工学術院先進理工学部 教授/カーボンニュートラル社会研究教育センター 副所長)
・「分析データに基づく食による健康長寿社会の実現」
堅田 一哉(一般社団法⼈セルフケアフード協議会 理事)
・「食農DXと環境負荷低減への挑戦」
前田 裕二(NTT株式会社 宇宙環境エネルギー研究所 所長)
・「畑を新たなコミュニティとした「農」と「食」によるWell-beingな地域づくり」
田中 康輔(株式会社パソナ農援隊 代表取締役)
・「食と農を取り巻くサステナビリティ制度」
宮島 誠史(農林中央金庫 サステナビリティ共創グループ 部長代理)
後半のパネルディスカッションでは、上記登壇者のほか、野村證券株式会社の石井 佑基 氏も加わり、食産業について業種を超えた連携の重要性のほか、地域のフィールドを活用した実証モデル、都市にいながらにして島の豊かな食材、その風味や臨場感を体験する等の五感を通じたリアルな体験の価値、テクノロジーを活用した食産業の未来等、様々なトピックについての意見交換がなされました。
本シンポジウムでは、会場とオンライン併せて延べ150名を超える参加があり、参加者からも食に関する多くの質問が寄せられ、登壇者と参加者が一体となって日本の食のあるべき姿について活発な議論が行われました。
当センターでは今後も様々な協力機関と連携のうえ、我が国の食産業の更なる発展に向けた取り組みを進めてまいります。