計算材料科学特別セミナー『ソフトマター2』第3回「ネマチック液晶の理論」を開催いたしました。
以下の内容について解説しました。
1. 液晶相を作り出す分子の特徴、ネマチック相、スメクチック相などの典型的な液晶相の定義、各液晶相を記述する秩序パラメーターについて紹介しました。自発的対称性の破れや、ネマチック相の配向秩序パラメータについて議論しました。
2. ネマチック相の平均場理論として、オンサガー理論(斥力モデル)、マイヤー・ザウペ理論(引力モデル)、ハイブリッドモデルについて紹介しました。配向秩序パラメータを用いて、どのようにネマチック相の自由エネルギーが構築されるかを解説しました。前回のコロイド溶液で議論した「Entropy creates order.」が、オンサガー理論でも重要であることを解説しました。また、棒状分子溶液で観測される等方相―液晶相分離について、引力相互作用と斥力相互作用の役割について解説しました。
3. 最後に、ネマチック相のランダウ・ドジェンヌ理論について紹介しました。ネマチック相の自由エネルギーを配向秩序パラメーターの4次項まで展開することで、等方相―ネマチック相転移(1次相転移)を簡単に議論することができることを紹介しました。転移温度、転移点での配向秩序パラメータの値などの近似解が、解析的に得られることを説明しました。
企業・大学等から幅広い分野の研究者・学生の方々にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。ご参加いただきました聴講者の皆様に感謝申し上げます。
第3回「ネマチック液晶の理論」
松山 明彦(九州工業大学大学院 情報工学研究院 物理情報工学研究系 教授)
日時:2024年2月28日(水)13:00~18:00
開催方法:オンライン(Zoomミーティング利用)
参加人数:53名
〔内訳〕学内11、学外39(大学14、企業等25)、講師他3