計算材料科学特別セミナー『ソフトマター2』第2回「コロイド分散系や高分子溶液の理論」を開催いたしました。
以下の内容について解説しました。
1. コロイド分散系の基礎理論として、コロイド粒子間のファン・デル・ワールス相互作用、枯渇相互作用、電気二重層相互作用を解説し、それらを使ったDLVO理論や、コロイド溶液の状態方程式からコロイド溶液の相分離を議論しました。また、コロイド粒子の結晶化について、引力モデルと斥力モデルが存在することを解説しました。「Entropy creates order.」は重要な概念の一つであり、ソフトマターの特徴でもあります。
2. 高分子溶液理論に入る前に、一本の高分子鎖の統計力学的モデルについて紹介しました。理想鎖の統計則を解説し、実際の高分子の大きさを概算しました。
3. フローリー・ハギンス理論による、高分子溶液の混合自由エネルギーの導出を解説しました。その混合自由エネルギーを使って、高分子溶液の相分離を説明しました。さらに、高分子鎖の古典弾性理論と混合自由エネルギーを組み合わせることで、高分子鎖の形態相転移(コイル・グロビュール転移)や高分子ゲルの体積相転移のメカニズム、フローリー指数などについて紹介しました。
企業・大学等から幅広い分野の研究者・学生の方々にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。ご参加いただきました聴講者の皆様に感謝申し上げます。
第2回「コロイド分散系や高分子溶液の理論」
松山 明彦(九州工業大学大学院 情報工学研究院 物理情報工学研究系 教授)
日時:2024年1月31日(水)13:00~18:00
開催方法:オンライン(Zoomミーティング利用)
参加人数:44名
〔内訳〕学内14、学外27(大学6、企業等21)、講師他3