計算材料科学連続セミナー 構造材料第2シリーズ 第4回「均質化法/有限要素法に基づく先進構造材料のマルチスケールシミュレーション」を開催いたしました。
講師は、筑波大学システム情報系の松田哲也准教授が務めました。本セミナーでは、複合材料やセル構造体のような先進構造材料に対するマルチスケールシミュレーションについて、多様な解析事例に基づき解説が行われ、その適用性の高さが示されました。まず、マルチスケールシミュレーションに有用な手法である均質化法について説明がなされ、先進構造材料のミクロ構造・特性からマクロ特性・挙動を解析する理論的枠組みが述べられました。つづいて、マルチスケールシミュレーションが、「マルチスケール材料モデリング」、「連成型マルチスケール解析」、「分離型マルチスケール解析」の3段階に分類されることが述べられ、それぞれについて順次説明がなされました。「マルチスケール材料モデリング」では、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、織物複合材料、プレートフィン構造体等の弾性、粘塑性、クリープ、温度依存性、損傷等に対する材料特性同定の事例が示されました。「連成型マルチスケール解析」では、CFRPのマルチスケール構造・強度解析、ならびにその大規模並列化手法等が紹介されました。「分離型マルチスケール解析」では、織物複合材料等を対象に、マルチスケール解析結果に基づく代理構成モデルの構築と、それを用いた構造解析について事例報告がなされました。最後に、マルチスケールシミュレーションのV&V(Verification & Validation)について解説が行われ、デジタル画像相関法計測による解析結果の妥当性の検証や、材料配置・物性等における不確かさ(ばらつき)をマルチスケールシミュレーションに導入する手法論が紹介されました。
今回は構造材料第2シリーズの最終回でしたが、学内外から多くの研究者および学生の方々にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。ご参加頂きました聴講者の皆様に感謝申し上げます。
第4回「均質化法/有限要素法に基づく先進構造材料のマルチスケールシミュレーション」
松田 哲也(筑波大学 システム情報系 構造エネルギー工学域 准教授)
日時:2023年7月3日(月)13:00~15:30、7月4日(火)13:00~15:30
開催方法:オンライン(Zoomミーティング利用)
参加人数:19名
〔内訳〕学内2、学外14(大学3、企業等7、研究機関4)、講師他3