計算材料科学連続セミナー 構造材料第2シリーズ 第2回「金属材料加工のための非線形有限要素シミュレーション」を開催いたしました。
講師は、京都大学 エネルギー科学研究科の浜孝之教授が務めました。二日に分けて実施されたセミナーの初日では、まず、金属材料加工のための有限要素法解析を難しくする要因として幾何学的非線形、材料非線形、接触(境界条件)非線形が挙げられることが説明されました。続いて、有限要素近似、材料と工具の接触、弾塑性構成式といった解析因子に着目して、これらが解析結果に及ぼす影響と信頼性の高い解析を実施するための留意点などが豊富な事例検討に基づいて紹介されました。また幾何学非線形に関連して、ひずみには様々な定義があること、またその定義によってひずみ値が異なることが説明され、実験と解析で結果を比較する際には同一の定義に基づくひずみを用いることが大切であることが説明されました。
二日目には、近年注目されている結晶塑性モデル(結晶粒レベルの微視変形に基づいて巨視的変形を予測するマルチスケール解析手法)に焦点を当てて、従来の弾塑性構成式との違いや基本的な考え方、モデル化の方法、解析の手順などが説明されました。また本モデルの今後期待される活用法として、実験に代わる数値材料試験機としての利用や、有限要素法と組み合わせることによる金属材料加工解析の高精度化と高機能化、新材料創製への貢献などが紹介されました。
今回は構造材料第2シリーズの第2回目でしたが、学内外から多くの研究者および学生の方々にご参加いただき、質疑応答も活発に交わされ、盛況のうちに終えることができました。ご参加頂きました聴講者の皆様に感謝申し上げます。
第2回「金属材料加工のための非線形有限要素シミュレーション」
浜 孝之(京都大学 エネルギー科学研究科 エネルギー応用科学専攻 資源エネルギー学講座 教授)
日時:2023年6月1日(木)13:00~15:30、6月2日(金)13:00~15:30
開催方法:オンライン(Zoomミーティング利用)
参加人数:30名
〔内訳〕学内10、学外17(大学5、企業等10、研究機関2)、講師他3