計算材料科学連続セミナー 構造材料第2シリーズ 第1回「有限要素法の基礎と複合材料への応用」を開催いたしました。
講師は、上智大学名誉教授の末益博志先生が務めました。セミナー前半では、まず有限要素法の始まりと発展の経緯に関して紹介されました。続いて数学的根拠となる変分原理との関係から講義がなされ、変分原理の観点に基づいて一次元問題に関して有限要素法の要素サイズと解の収束性に関して具体例を用いて説明があり、その中で要素の内挿関数の次数に関しても取り上げられました。さらに二次元問題に関しても同様に説明がなされました。
後半では先進複合材料の基礎に関してとくに複合することによる問題点に着目して講義が進められました。強度則が実験結果に基づいて経験的に提案されたものであることや界面破壊の有限要素解析のために導入された結合力モデルの紹介がなされました。続いて複合材料の強度試験で得られた損傷の状態を画像やビデオを用いて紹介され、最終強度を有限要素法を用いて予測することの難しさと最終強度が決まるメカニズムの理解により信頼可能な強度推定の可能性を示されました。
最後に有限要素解析が数学理論に基づいて構築され、誰でも使えるような工夫がなされているけれども、得られる情報の価値は、基礎学力や実経験といったエンジニアの現象に対する理解力に大きく依存するとして講義を終えられました。
今回は構造材料第2シリーズの初回でしたが、学内外から多くの研究者および学生の方々にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。ご参加頂きました聴講者の皆様に感謝申し上げます。
第1回「有限要素法の基礎と複合材料への応用」
末益 博志(上智大学名誉教授)
日時:2023年5月12日(金)10:00~16:00
開催方法:オンライン(Zoomミーティング利用)
参加人数:45名
〔内訳〕学内18、学外24(大学9、企業等13、研究機関2)、講師他3