早稲田大学材料技術研究所 計算材料科学連続セミナー(電子材料第2シリーズ)2022年10月~2022年11月 オンライン開催
主催:早稲田大学 各務記念材料技術研究所/環境整合材料基盤技術共同研究拠点
材料科学研究における計算の重要性は近年ますます高まっています。時間とお金をかけた実験でなくても、計算によってある程度の精度で材料特性の予測が可能になりつつあること、また実験で得られるデータ量が膨大となり、シミュレーションを含めた数値解析が必須となっていること、などが理由です。
早稲田大学材料技術研究所はこれまでに、学外者向けの材料科学のセミナー(オープンセミナー、教育プログラム)を定期的に開催してきた実績があります。こうした経験を生かし、2021年度から、文部科学省の共同利用・共同研究拠点として計算材料科学連続セミナーを実施しております。
本セミナーでは、電子材料をターゲットとして、スーパーコンピュータを用いたシミュレーション、多体計算による実験結果のスペクトル解析、密度汎関数法に基づく大規模第一原理計算、材料シミュレーションと材料インフォマティクスの総合的活用などについて、4回に分けて講義を実施いたします。なお受講者は大学学部レベルの理系知識を持つことを想定します。
(2023年度前期は「構造材料」、後期は「化学材料」の第2シリーズが開催される予定です。)
フライヤーのダウンロードはこちらから
1.日時
計算材料科学連続セミナーの電子材料第2シリーズは、4回に分けて開催いたします。
各回の開催日時、講演タイトル、および講師(敬称略)は以下の通りです。
第1回
10/25(火)14:00-17:15
「物質・材料シミュレーションの今とこれから」
常行 真司(東京大学 大学院理学系研究科 教授)
第2回
10/31(月)13:00-18:00
「材料科学のための内殻電子励起の理論」
溝川 貴司(早稲田大学 先進理工学部 応用物理学科 教授)
第3回
11/22(火)14:00-17:15、11/24(木)14:00-15:30 ※計270分
「密度汎関数法にもとづく計算物質材料科学」
宮崎 剛(物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)主任研究者/グループリーダー)
第4回
11/28(月)15:00-16:30、11/29(火)15:00-16:30、11/30(水)15:00-16:30 ※計270分
「シミュレーションとインフォマティクスによる新材料設計・探索」
中嶋 隆人(理化学研究所 量子系分子科学研究チーム チームリーダー)
2.開催方法
オンライン(Zoomミーティング利用)
3.セミナー内容の詳細
講演タイトル 日時 |
講師(敬称略) | 講演内容 |
第1回 「物質・材料シミュレーションの今とこれから」10/25(火)14:00-17:15 |
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物質・材料研究では、物性とその発現機構の理解や予測、あるいは新物質・新材料の発見を目的として、コンピュータシミュレーションが用いられる。それを支えるのは、コンピュータ自体の開発とシミュレーション手法の開発である。 本講義の前半では、日本で開発されたスーパーコンピュータ「富岳」での事例を中心に、近年可能になった大規模シミュレーションについて概観する。後半では、熱電材料の格子熱伝導率、電子デバイス材料の熱膨張率、高周波デバイス材料の複素誘電率など、材料研究でニーズの高い非調和格子振動物性に関するシミュレーション手法開発を紹介する。最後にシミュレーションを駆使した今後のマテリアルDXについて展望する。 |
第2回 「材料科学のための内殻電子励起の理論」 10/31(月)13:00-18:00 |
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遷移金属・希土類・鉛・ビスマスなどを含有する触媒や電池電極の研究において、内殻光電子分光や内殻X線吸収分光で金属種の原子価を評価することは必須項目になりつつある。しかし、内殻電子励起は多重項分裂や電荷移動など多体効果に起因するスペクトル構造を伴うことが多く、それらに十分に習熟していなければ原子価の解釈を誤ってしまう可能性がある。 本講義では、クラスターモデルでの多体計算によって光電子分光・X線吸収分光・非弾性X線散乱を解析する計算手法について解説する。原子価を正しく評価するだけでなく、金属種の電子状態について詳細な情報を抽出することができる。 |
第3回 「密度汎関数法にもとづく計算物質材料科学」 11/22(火)14:00-17:15 11/24(木)14:00-15:30 ※計270分 |
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密度汎関数法にもとづく第一原理計算は、様々な物質・材料における原子スケールの構造と電子状態を解明するのに貢献してきた。 本セミナーでは、第一原理計算手法の基礎理論を学んだ後に、実際の物質・材料における研究例をいくつか紹介し、複雑な構造と多様な物性を計算科学からどのように理解することができるかを示す。時間が許せば、我々が開発してきた大規模第一原理計算プログラムCONQUESTを紹介し、機械学習による解析手法も併用することにより、第一原理計算にもとづいた研究対象がより多くの物質、材料、現象に広がっていることを紹介したい。 |
第4回 「シミュレーションとインフォマティクスによる新材料設計・探索」 11/28(月)15:00-16:30 11/29(火)15:00-16:30 11/30(水)15:00-16:30 ※計270分 |
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エネルギー・環境問題の解決のための高機能材料に対する新材料設計や探索を実現するためには、材料シミュレーションと材料インフォマティクスを融合的に活用することが有効である。 本講義ではそのために必要な基礎の説明から始めて問題点を浮き彫りにし、問題解決に向けたわれわれのグループの最近の取り組みについて紹介する。 |
4.受講修了証の発行
以下の要件を満たした方には「受講修了証」を発行いたします。
・第1回から第4回まですべての回を受講すること。
・第4回受講終了後、所定のアンケートに回答すること。
5.申込手続き
参加費:無料
申込フォーム:こちらのページから ※受付は終了いたしました
4回全部に参加しても、個別の回に参加しても、どちらでも結構です。
受付期間は各回の日程の1週間前の17:00までです。
6.お問い合わせ
早稲田大学 各務記念材料技術研究所 [email protected]
早稲田大学各務記念材料技術研究所
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-8-26
TEL 03-3203-5166 FAX 03-5286-3771