Graduate School of Letters, Arts and Sciences早稲田大学 大学院文学研究科

その他

大学院の考古学コースに進学して(考古学コース:比留間絢香さん)

私が進学を決めた理由

私が大学院の考古学コースに進学を決めた大きな理由は、「もっと幅広い分野と関連させて研究テーマを深掘りしたい」と考えたからです。学部2年生で各コースに分かれ、扱う時代も地域も多様な考古学の講義を受ける中で、私は縄文時代の土製仮面に興味を持ち、卒業論文のテーマに選びました。その研究を進める中で、幅広い分野の知識・考え方を取り入れる必要があると実感しました。到底、卒業論文執筆までの約1年間では時間が足りません。そのため、考古学の幅広い分野をカバーする考古学コースに進学して、知見を深めつつ研究を続けたいと思いました。修士課程に進学してからは、教授のパプアニューギニアでの民族考古学調査に参加するなど、学部生ではできなかったような経験をし、たくさんのことを学ぶことができました。

考古学コースの雰囲気、教員・学生などとの交流

考古学コースの研究室には、実習室や院生が研究に用いる部屋などがあり、豊富な資料・史料が揃っていました。そのため、研究室ではよく、学生が研究手法に関して話し合っていたり、教員に研究について相談していたり、院生が学部生にアドバイスをしていたりする光景が見られました。また、OB・OGが訪問することも度々あったので、全体的に活発な交流がなされていました。研究室内での交流のほか、実習や学生・教員が行う調査へ参加することもあったため、交流の機会はさまざまありました。

 

研究にかけた思い

私が研究テーマに選んだ「土製仮面」は、縄文時代後晩期の遺物の中でもかなり数の少ないものです。また、日常的に用いる土器などとは異なり、儀礼・祭祀など当時の精神世界にかかわる遺物であるため、研究は難航しました。しかし、これらの遺物も当時の人びとの営みを構成する大切な要素であり、数の少なさや研究の難しさを理由に蔑ろにしてよいということは決してありません。同時代の他の遺物、民族・民俗考古学の考え方など、研究に取り入れるべき視点は幅広く、検討が難しい点もありますが、だからこそ奥深く、興味が尽きないのです。

 

修了後、修士課程での生活を振り返って

修了した現在、私は地方自治体の学芸員として働いています。しかし、これまで行ってきたことが終わってしまった訳でも、修士課程で培ってきたものが無駄になる訳でもありません。実際、現在の業務でも今までのことが大いに役立っています。たとえば、埋蔵文化財に関する業務では、現職に就いてから学んだその地域の特色といったこと以外にも、今まで学んできた考古学の基礎的知識、考古調査士の資格取得の際に学んだ文化財行政に関すること、発掘調査に携わって得た知見など、修士課程で吸収した多くのものをあらゆる場面で用いています。もちろん、学芸員の業務は、自分の専門といえる埋蔵文化財に関すること以外にもたくさんありますが、幅広い分野に触れたからこそ活かせることもあります。修士課程でさまざまなことを経験したからこそ、今の自分があるのだと思います。

プロフィール

東京都出身。早稲田大学文学部考古学コース卒業後、早稲田大学大学院文学研究科考古学コースに進学。在学中は縄文時代の土製仮面をテーマに研究。修士論文の題目は「縄文時代後晩期の土製仮面に関する研究」。修了後は、中野区役所で学芸員として勤務中。

(2021年2月作成)

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