Graduate School of Letters, Arts and Sciences早稲田大学 大学院文学研究科

その他

修練を積み、わたしのあり方を変える(文化人類学コース:相原実乃織さん)

私が文化人類学コースを志望した理由

比較神話学を卒業論文のテーマとして選んだ私は、この研究が卒業と共に終わってしまうことを非常に残念に思っていました。社会人として働いていくことにも自信がなかったし、研究や勉強も続けたいから大学院に進学することに決めました。今思うと単純な動機です。

神話学や宗教学が学べる大学院を探していた時、文化人類学コースの存在を知りました。当時の早稲田には神話学コースはなかったのですが、ここなら神話学の話もできそうなこと、大学4年間を過ごした早稲田で学び続けられることに魅力を感じたため、文化人類学コースを志望しました。

文化人類学コースの雰囲気、教員・学生などとの交流

文化人類学コースは全体的に穏やかな雰囲気で、先生や先輩方が気さくに接してくださったのでとても居心地が良かったです。

修士論文の相談や講義の質問だけでなく、趣味の話や悩み事など、いろいろな話を聞いていただきました。またこのコースには留学生や渡航経験の豊富な方も多く、自分があまり知らなかった海外の話もたくさん聞かせていただいて、自分の世界が広がったように感じます。特に先生方のエピソードはインパクト絶大ですので、文化人類学コースに入られた方は是非いろいろ聞いてみてほしいと思います。

コース室で過ごす時間も充実していました。先生や先輩方の残していった異国の謎のお土産や壁を埋め尽くす本に囲まれながら、コースのメンバーと談笑したり各々の研究の話をしたり、学部生の頃にゼミ室が無かった私にはとても刺激的でした。課題の締め切り間際、パソコンとプリンターを借りにコース室に駆け込んだことも今ではいい思い出です。

研究にかけた思い

入学した当初の私は、卒業論文の際と同様に書籍を中心にして研究を進めていきたいと思っていました。ただ早稲田の文化人類学コースは、フィールドワークに重きが置かれています。私が書籍中心でと思った理由は、自分は人見知りで対人能力が低い自覚があったため、なるべく人と接しないで修士論文を進めたいという邪念があったからでした。その目論見は早くも頓挫し、私は内心震えながらフィールドワークに赴くことになったのでした。

私の修士論文のテーマは、卒業論文のテーマだった神話→日本神話→神社という安直な連想ゲームで決めたものでした。しかし大学院のフィールドワークを経て、学部生の時は本から得た知識のみで固めていた「神話」というイメージが、現実を生きている人々によって形作られていることを、この身をもって体感することができました。そして過去の不変の物語だと思っていた神話が、生きている人々の中で変化し続け、適合したり忘れられたりしているものだと知りました。

他人に対して関心の低かった私ですが、人の中で変遷を続ける神話とそれを体現した神社という場の役割について、フィールドワークを通して身をもって得た知見を、集大成として修士論文でまとめたいと思うようになりました。

修了後、修士課程での生活を振り返って

修了後の私は、神話や神社と特に関係のない一般企業に就きました。同期は大体年下なので、時々微妙に年代の差を感じることもありますが、大学院進学で就職が遅れたことについては後悔していません。きっと学部生の直後に就職の道を選んでいたら、私は今以上に足りないものだらけで、上手く働けなかったんじゃないかと思うからです。自分の好きなことを勉強できさえすればいいと思っていた私が、自分の勉強したいものを形作っているのが人だということを学べたという点でも、大学院に進んで良かったと思います。

プロフィール

神奈川県秦野市出身。早稲田大学文化構想学部現代人間論系を卒業後、早稲田大学大学院文学研究科文化人類学コースに進学。在学中は現代における宗教施設の役割をテーマに研究。修士論文の題は「現代社会における聖なる空間の役割」。修了後は株式会社NSPに入社しSEとして勤務中。

(2021年 2月 作成)

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