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表象・メディア論コースでの学び(表象・メディア論コース:本吉麻瑶さん)
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- Thu, 08 Oct 2026

本吉麻瑶(修士課程(表象・メディア論コース)修了生)
私が表象・メディア論コースを志望した理由
元々美術館で作品を見ることが好きだったため、美術を学べる大学を進学先に考えていました。なかでも、早稲田大学の表象・メディア論系の関直子先生のゼミは、美術作品だけではなく、それらを展示する「美術館」もメディアとして捉え、考えるという方針でした。学芸員出身の先生のゼミは、私の興味関心にぴったり合うと感じ、学部時代に表象・メディア論系を志望しました。
大学院進学を決めたのは、3年生のころでした。私はコロナ禍の2020年度に入学したため、入学当初はオンライン授業が主でした。対面授業が本格的に再開してきた頃には就活の時期が始まっていましたが、私はこれまでの勉強に物足りなさを感じていました。また、学芸員を目指してみたいという気持ちもあったため、大学院に進み、引き続き関先生に指導していただきました。関先生は私の興味関心を尊重して熱心に指導してくださいました。
表象・メディア論コースの雰囲気、教員・学生などとの交流
表象・メディア論コースでは、先生も学生も、それぞれ全く異なる専門分野をもつ方たちが集まって研究をしています。そのため研究発表をすると、みなさんそれぞれの専門分野の視点から私の研究を面白がってくれます。様々な視点からの意見をもらうことができるとてもありがたい環境のおかげで、私も自身の研究をブラッシュアップしていくことができました。互いに違うことを研究していても尊重しあう、そんな雰囲気があるコースだと思います。正直、目が回るように忙しい大学院生活でしたが、探究心と好奇心溢れる表象・メディア論コースの先生方、先輩、同輩、後輩たちからいつもエネルギーをもらっていました。
研究にかける思い
私は、日本の戦後美術におけるシュルレアリスムの位置を考えてきました。シュルレアリスムは、両大戦間のパリで始まった文学・芸術運動です。第一次世界大戦という未曾有の戦禍を経験したアーティストたちは、人間の理性を礼賛するこれまでの価値観を疑い、理性が及ばない夢や無意識の世界を探求していきました。
戦前の日本においても、シュルレアリスムは豊かに受容されますが、戦局の悪化に伴い弾圧を受けました。しかし戦後になると、シュルレアリスムは再び熱気をもって受容されました。修士論文では、戦後美術を代表する作家である中村宏と赤瀬川原平の制作において、それぞれシュルレアリスムがどのような意味を持っていたのかを検証しました。それまでの価値観が根本的に覆った戦後の日本で制作活動をスタートした彼らにとって、既存の価値観を徹底的に疑うシュルレアリスムは、非常に重要な意味を持っていたのではないかと考えています。
シュルレアリスムは100年前に遡る文脈です。しかし、混乱を極める現代社会の状況が、両大戦における歪みとも地続きなものであるからこそ、「いま」シュルレアリスムを考える意義は大きいのではないかと考えています。
コースでの学びと美術館での仕事
現在は、東京の府中市美術館で学芸員として勤務しています。「どうしたらこの作品の魅力を伝えることができるだろうか」と考えながら、実際の展示空間や解説の文章を作っていく仕事はとても難しく、とても楽しいです。毎日新しい学びや発見があります。大学院で、作品と向き合いながら論文を執筆した経験は、学芸員の仕事の基礎になっています。
まだまだ勉強しなければならないことが山積みですが、大学院で探究したテーマをさらに発展させ、いつか展覧会を作りたいと考えています。いつでも自分の好奇心を大切にしながら、仕事も研究も続けていきたいです。
プロフィール
府中市美術館学芸員。早稲田大学文化構想学部表象・メディア論系卒業後、同大学大学院文学研究科表象・メディア論コースに進学。修士論文の題目は「戦後日本のシュルレアリスム—中村宏と赤瀬川原平の制作から」。2026年4月より現職。
(2026年10月作成)
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