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- 流れに委ねていたらこんなところまで来てしまいました(心理学コース:横洲有咲さん)
流れに委ねていたらこんなところまで来てしまいました(心理学コース:横洲有咲さん)
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- Thu, 08 Oct 2026

横洲有咲(修士課程(心理学コース)修了生)
私が心理学コースを志望した理由
公認心理師試験の受験資格要件を満たすため、というのが名目上の理由です。ただ、学部4年から大学院に進学する時期になってようやく物心が付いてきて、これまで内側に屈曲するばかりだった自分の問題関心を言葉で説明することが多少は可能になってきました。読みたい本を読んで、好きなように考えたり書いたりできることが楽しかった一方で、「資格取得のため」という世間にも伝わりやすい目的が伴っていたことは、大学院生活を心身ともに健康に過ごすための足固めにもなっていたように思います。
心理学コースの雰囲気、教員・学生などとの交流
それぞれが自分のすべきことをし、必要であれば気兼ねなく交流する程度の程よい距離感が自分には合っていました。公認心理師を目指す方にとっては、実習や書類関係の手続き、就職などで情報収集が重要になるので、学生同士の横のつながりは大切にするとよいと思います。
研究にかける思い
もともと研究がしたいと思っていたわけではありませんでした。今も自分のやっていることが研究なのかと言われると、そういうわけではない気がします。
昔からの原問題として「なぜ(私は、他者は、現実は)このようにあるのか」という認識論と存在論を跨ぐような疑問がありました。それに加えて「もともと一つだったはずなのに、なぜこのように分かれ出てきてしまっているのか」という問題が心を捉えてやまず、「もともと一つだった」という郷愁に応えてくれる理論や、物事が分かたれる手前の世界を追想させてくれるものを求め続けていました。それが、後に研究に通底していくことになる仏教です。
また、物事が分かたれる手前の世界において、有情無情が言語不要に疎通するヴィジョンは、私が理想とする(問答無用に美しいと思う)臨床心理の世界へと自ずと繋がってゆきました。哲学と宗教と心の問題の境界を超えて、より普遍的な共通心性が見たいということは、これまでもこれからもずっと変わっていません。
主客未分なところから存在者が分かれ出てくるありようを、さまざまな角度から反射させては覗き込むような具合で考えていたところ、一緒に面白がってくれる人が集まってゆき、気が付いたら論文になっていました。形にならない情意を汲み取っていただき、自然科学としての心理学に落とし込む作業を支えてくださった指導教員の宮田先生には、大変感謝しています。
コースでの学びとキャリア
公認心理師資格を取得し、大嶋信頼先生が代表を務める心理相談室「インサイト・カウンセリング」にて勤務しています。精神力動的な見立てに基づき、催眠療法とブリーフセラピーを交えたようなアプローチで、とてもおもしろい臨床を学ばせていただいています。
これまで、言葉は人を分別に駆り立て、物事を分けて区別してゆくためのものだと思っていましたが、むしろ言葉によって無意識に誘うことができるということを知りました(それが、ミルトン・エリクソンの現代催眠というものです)。修士論文では「(井筒俊彦のいう)意味分節の再編は心のしがらみを緩め、治療的になりうる」ということを論じたのですが、催眠療法がその有力な手立てとなるのではないかと考えているところです。
分けて選ぶ道具を活用することで、逆に分けて選ぶ世界への拘泥を解くことができたらとてもおもしろいし、「意味分節理論の心理療法への実装」が徐々に具体性を帯びてきているように感じています。
プロフィール
千葉県出身。早稲田大学教育学部卒業後、同大学大学院文学研究科心理学コースに進学。在学中は、非連続的な自己連続性をテーマに、東洋的行法および離人体験における自他境界の変容について学際的に研究。修士論文の題目は「自他境界とその変容に関する研究――東洋的身体技法と離人感に着目して――」。同論文で小野梓記念学術賞を受賞。修了後は、公認心理師として「株式会社インサイト・カウンセリング」にてカウンセリングに従事。
(2026年10月作成)
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