• 伝統的で新しい、東洋哲学の研究 (東洋哲学コース:服部太亮さん)

伝統的で新しい、東洋哲学の研究 (東洋哲学コース:服部太亮さん)

伝統的で新しい、東洋哲学の研究 (東洋哲学コース:服部太亮さん)
Posted
Wed, 07 Oct 2026

写本調査に参加した真福寺大須観音(名古屋市)にて

服部太亮(修士課程(東洋哲学コース)在学生)

 

私が東洋哲学コースを志望した理由

もともと東洋哲学に関心があり、学部から東洋哲学コースに所属していました。特に興味のあった仏教の教学は非常に幅広く、学部4年間では到底学びきれないと感じていました。身近に東洋哲学コースの大学院生がいたので話を聞く機会も多く、大学院への進学は早い段階から現実的な選択肢として考えていました。東洋哲学コースは仏教学の分野でも広く知られており、学部での研究を続けていくには最も適した環境だと考え、そのまま大学院の東洋哲学コースに進学しました。

東洋哲学コースの雰囲気、教員・学生などとの交流

「東洋哲学」という名前の通り、仏教だけでなく、儒教や道教など様々な分野を研究する学生がいます。研究室で互いの研究について話したり、院生同士で読書会を開いたりすることも多く、異なる分野の研究方法に触れるたびに良い刺激を受けています。また大学院を修了した先輩方との交流も続いており、調査に誘っていただいたり、勉強会等でご指導をいただいたりする機会もあります。

コース内で分野を超えて共有されているのが、原典に当たり、一字一句ゆるがせにしない研究態度です。学部生のときに、「照于一隅」と読まれることがある句について「于」ではなく「千」と読むべきと教えられたことが印象に残っています。たとえ一字でも読み方を当然視せず、原典から考え直す姿勢を学びました。こうした姿勢は津田左右吉以来の東洋哲学コースの伝統だと聞いています。

こうした伝統的な面を持ちながらも、デジタル技術の活用も進んでいることには驚きました。文献のデータベースなどは多くの院生が日常的に利用していますし、デジタル技術を研究に活用し、資料や成果を広く公開していこうという意識を持った人も多くいます。伝統的な文献読解と新しい技術の両方を使いながら研究を進めていることも、この分野の面白さだと感じています。

研究にかける思い

私は奈良から平安時代にかけての日本三論宗の思想を研究しています。特に面白いと感じるのは、昔の僧侶が「何を考えていたのか」だけでなく、「なぜそのような問題を考えていたのか」が見えてくる瞬間です。一つの文献だけではわからなかったことが、同時代の別の文献と重ね合わせて読むことで、「当時はこのような問題意識が共有されていたのではないか」と問題の背景が見えてくることがあります。

大学院に進学して、研究の方法や資料の見方も広がりました。以前は『大正新脩大蔵経』のような刊行されたテキストを読むことが研究だと思っていましたが、大学院では寺院や博物館を訪れるなどして写本を調査する機会があります。実物を見ると、書き損じや訂正跡、虫食いなど、文献が人々の手を伝って現在まで伝わってきた長い過程が見えてきます。思想もまた、そうした過程を経て伝えられてきたものなのだと実感しました。

修了後の予定

修士課程修了後は博士後期課程に進学し、現在の研究を続けたいと考えています。その中で、まだ翻刻されていない三論宗関係の文献を翻刻し、公開していくことにも取り組みたいです。東洋哲学コースで学んでいる漢文読解や資料調査の技術はもちろん、「一字一句ゆるがせにしない」という研究の姿勢も受け継ぎながら、自分の研究と向き合っていきたいと思っています。

プロフィール

千葉県出身。早稲田大学文学部東洋哲学コース卒業後、同大学大学院文学研究科東洋哲学コースに進学。日本古代の三論宗をテーマに研究中。修士論文の題目は「奈良・平安初期三論宗における仏身論の展開(予定)」。

(2026年10月作成)