天幸奈穂(修士課程(美術史学コース)在学生)
私が美術史学コースを志望した理由
学部入学時から漠然と研究者への憧れはありましたが、学部の卒業論文のテーマを考えていた際に、日本ではあまり研究されていないイタリアのロマネスクの美術についてより深く研究したいと思い、修士課程への進学を決めました。
美術史学コースの雰囲気、教員・学生などとの交流
先生方、学生同士の距離が近いと感じます。先生方には、留学先について悩んでいた際や調査に行く際にも多くのご助言をいただきました。素晴らしい先生方は勿論のこと、研究について意見を交換し議論することのできる学生にも出会うことができました。特に、演習では各々の修士論文のテーマに関する他の学生の発表に日々刺激を受けています。また、本コースは大きく日本・東洋・西洋の3つに分けられ、演習は分野ごと に行われていますが、分野に関わらず、コース全体で交流が盛んであると思います。昨年度から開催されている学生による自主研究会は、日本・東洋・西洋の垣根を超え、他分野の学生同士で意見を交換することのできる貴重な場となっています。
研究にかける思い
私は現在、イタリアのロマネスクの美術について研究しており、修士論文はイタリア北西部の都市、アオスタにあるサン・ピエトロ・エ・サントルソ参事会聖堂をテーマに執筆予定です。イタリアのロマネスクの美術の研究では、先行研究は欧文文献がほとんどで、作品の画像も手に入りにくいなど苦労が絶えませんが、特に修士論文のテーマであるアオスタの聖堂については研究余地が多くあると考えています。現在、自らの研究テーマについてさらに深く学びたいと思い、イタリアのパドヴァ大学に留学しています。イタリアでは、作品をすぐに自分の目で観察することのできる環境で充実した日々を過ごしています。北イタリアのロマネスクの聖堂をテーマとした授業のフィールドトリップでは、実際に授業内で扱った聖堂を訪れました。また、留学先のパドヴァには、ジョットのフレスコ画のあるスクロヴェーニ礼拝堂をはじめとした14世紀のフレスコ画群が残されています。言語の壁にぶつかることも多々ありますが、様々な素敵な出会いに恵まれ、これまで以上に広い視野を持ち研究に取り組むことができていると思います。
修了後の予定
修了後は、博士後期課程に進学し、再びイタリアで研究を行う予定です。自らの研究テーマを突き詰めると同時に多角的な視点を持った研究者を目指していきたいと思います。
プロフィール
東京都出身。早稲田大学文学部美術史コース卒業後、早稲田大学大学院文学研究科修士課程美術史学コースに進学。現在イタリア・パドヴァ大学留学中。修士課程在学中はイタリアのロマネスクの美術をテーマに研究。修士論文の題目は「サン・ピエトロ・エ・サントルソ参事会聖堂(アオスタ)研究」(予定)。
(2023年3月作成)