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社会学コースという、社会学を学べる社会学的空間(社会学コース:神野洋さん)

社会学コースという、社会学を学べる社会学的空間(社会学コース:神野洋さん)
Posted
Thu, 08 Oct 2026

神野 洋(修士課程(社会学コース)修了生、博士後期課程在学中)

 

私が社会学コースを志望した理由

私は学部生の頃から社会学コースにおり、執筆時点では在籍6年目になります。そのため、いまの私にはこの社会学コースに在籍する理由がありますし、多少なりともコースへの愛着もあります。しかし、学部2年生でいざコースを選択しようという頃の私には、取り立てて社会学コースを志望する積極的な理由がなかったように思われます。

ふと、さらに遡ってみると、総合大学を選んだのも、そのなかで文学部に進学したのも、なにを学びたいかが明確に定まっていなかったからでした。漠然と学ぶ意欲はあるものの、まだこれというものに出会えていなかったので、手広く触手を伸ばせそうな環境を選びました。そして、進級時に社会学コースを選んだ理由もまったく同じです。それだけ幅広い研究の選択肢がコース内にあることが、社会学コースの最大の魅力です。

社会学コースの雰囲気、教員・学生などとの交流

社会学コースには10名を超える多くの先生方がいらっしゃいます。また、コースの助手やゼミ・講義のTAを務めてくださる先輩方も多くいらっしゃいます。そしてなによりも、ゼミ生としてともに学ぶ同輩の数に恵まれています。

学問の本質は独学ではなく対話にあると思えば、やはり時間をともにし、意見を交換しあえる人が多いというのはそれだけで大きな価値をもちます。実際、関心の定まらない私も、ゼミ内での指導やディスカッション・ゼミ外での個人的な相談を通して、徐々に研究の輪郭を作り上げていくことができました。

また、ゼミを行う社会学演習室・なんとなく学生が滞在できる社会調査実習室・そして助手室(社会学研究室)の3部屋がすぐ近くに設置されているという空間構造も、緩やかに開かれたコミュニケーションの場として機能しているように思います。

メンバーそれぞれが異なる関心をもちながら連帯できる、不思議な環境です。そのこと自体に、社会学の特徴が表れているともいえます。

研究にかける思い

学部および修士では「言語ナショナリズム」という現象に関心をもち、日本社会のなかで日本語(「国語」)を使うことと、それがもつ包摂/排除の作用を分析することに努めました。一方、現在は、博士後期課程進学とともに現職の学校教員という立場から、学校で教育される「能力」の中身をフィールドワークを通じて記述することを試みています。

一見、まったく異なる方向へ舵を切ったように見えます。実際、前者はナショナリズム論、後者は教育社会学という異なる領域にそれぞれ分類されます。そのため、目下の課題は教育社会学の再勉強です。しかし、理論的には同じ「知識社会学」という大きな関心のもとにまとめることもできます。新たな勉強をするなかでも、知識社会学的営みとして過去の研究経験が土台になってくれていると感じています。

このようにして、一方では社会学という広い大地に深く根ざしながら、一方では自らの研究関心の枝葉を広げていくという双方向の探究を楽しんでいたら、いつの間にか進学をしていました。

コースでの学びとキャリアを結び付けた現職での活躍

「活躍」という言葉は非常に身に余りますが、活かされている学びは数多くあります。

まず教員という職業柄、学んだ知識や研究した内容が、授業などの形で直接的に役に立つことがあります。これは修士課程在籍中にはあまり想像していなかったことなので、思わぬ形で学びがつながって嬉しい気持ちです。また、社会学を専攻することや修士課程に進学することなどの進路が、生徒の進路選択になにか寄与することがあるかもしれません。職業特性上、こういった点は目に見えて活かしやすいです。

ただ、当然ながら社会学(コース)で修得するのは知識だけではありません。おそらく、修士課程まで進学した意義というのは、「社会というものの見方」をじっくり修めたことにこそあります。

学校には教室、部活、交友関係などさまざまな社会があり、その観察・運営をすること自体が教員の仕事です。したがって、その社会をどのような観点で記述するのか、という判断能力が職能として常に問われています。社会学を修めてきたことで、そういった要求に応える素地は身につけられたのではないかと思っています。もちろん、ベテランの先生方の力量と経験値には遠く及ばないのですが。

プロフィール

神奈川県出身。早稲田大学文学部社会学コース卒業後、同大学大学院文学研究科社会学コースに進学。在学中は言語政策とナショナリズムとの関係性をテーマに研究。修士論文の題目は「現代日本における言語ナショナリズムの行方――2種の『やさしい日本語』研究の対立点から考える,同化政策の成立可能性」。修了後は同コースの博士後期課程に進学する一方で、私立中高の国語科教員としても勤務。

(2026年10月作成)