自己紹介
子供の頃から、海外のファンタジー文学や日本の古典文学が大好きでした。また外国語も大好きで、小学生の頃からラジオで英会話を勉強するのが楽しみでした。今考えると、見知らぬ世界を知る事が楽しかったんだと思います。
その興味の延長で、大学ではイギリスのファンタジー文学をテーマに論文を書きました。大学卒業後はアメリカの大学院へ進み、修士論文では『雨月物語』の女性の幽霊について書き、博士論文の一部でも、安珍清姫で有名な、『道成寺伝説』で蛇に変身する清姫について取り上げました。
大学で東京に出た時には岐阜と東京が遠いと寂しく思っていましたが、その後アメリカ、台湾、日本など行き来する中で、行動範囲も広がり、自分の世界や考え方も広がったと感じています。これからもまだ行ったことがない国や地域に行って、様々な研究者の人と交流していきたいと思っています。
私の専門分野、ここが面白い!
専門は、江戸時代の文学や演劇です。特に人形浄瑠璃に描かれた女性について研究しています。人形浄瑠璃文楽と聞いて、「なんだか難しそう」とか「古典演劇なんて敷居が高いんじゃないか」と敬遠する人も多いかと思います。でも、江戸時代にさかのぼってみると、人形浄瑠璃は教養ではなく、庶民の娯楽だったんです。新しい作品が次々と生み出される、今で言うと映画のような存在でした。浄瑠璃のテキストは一般向けに出版され、劇場プログラムやポスターのような絵尽し、番付といったものも出回っていました。作者は演者と一緒に作品を作り、今までにヒットしたトリックやストーリーのパターンを使い回しながら、そこに新しいひねりを加えたりあっと驚くどんでん返しを組み込んだりして観客を楽しませてきました。また、素人浄瑠璃も盛んで、その様子は落語の演目でも取り上げられています。このように江戸の庶民から広く受け入れられた浄瑠璃を研究することで、彼らの考え方や生きざまについて考察しています。
また、私は国際日本文化論プログラムに所属し、研究を主に英語でしています。英語で研究することによって、より広い世界で様々な分野の研究者と対話することができます。問題意識も自然と大きなものとなり、世界中の研究者と、「近世とは」「文学活動とは」「娯楽とは」「芸術とは」、更に「人間とは」何なのかということまで深めて行く事ができるのです。また、学生の皆さんにとっては、古典を原文で読むよりも、英語で読む方がかえって意味がはっきりし、翻訳という勉強にもなって一石二鳥ではないかと思います。国際日本文化論プログラムの授業で自国の歴史や古典を英語で学ぶことによって、その成果を将来国際的な舞台で活躍する糧にして頂きたいと願っています。
プロフィール
岐阜県岐阜市出身。東京大学教養学部イギリス科卒業。修士(セントルイス・ワシントン大学、日本文学)。博士(コロンビア大学、日本文学) 。ヴァッサー大学非常勤助教授、フロリダ大学助教授を経て、2017年9月より現職。