- 筑波大学附属高等学校 2019年3月卒業
- 早稲田大学国際教養学部 2023年3月卒業
- 東京工業大学工学院経営工学系修士課程 2023年4月~現在
― 現在の進路を教えてください。
東京工業大学工学院経営工学系修士課程に在籍しています。
― 大学院での学びや研究について教えてください。
専攻が”経営工学”ということもあり、企業経営や社会システム上の問題を、数学や情報技術を用いて解決する方法を学んでいます。私は中でも人工知能(AI)の研究室で、推薦システムの研究を行っています。皆さんが普段の生活で利用しているECサイトや動画配信サービスにおいて、商品やアイテムを自動的に表示し、ユーザの満足度向上やサービスの売り上げ増加に貢献するシステムのことです。システムの裏にあるユーザの購買履歴やコメントデータ等の解析や、AIの利用によって、より個々のユーザに適した商品やアイテムの推薦を行うことができます。日々、刻々と新しい研究成果や社会実装が発表されるAI分野の研究は大変エキサイティングです。
― SILSは文系や国際系寄りの学部ですが、理工系大学院に進学する学生の割合を教えてください。
3%未満だと思います。1学年700人ほどの学生の中、理工系ゼミに所属している人数は例年20人、3%程度です。そこからさらに理工系大学院に進学する人は現時点では稀少です。
― その中で理工系大学院を志望したきっかけを教えてください。
そもそも、私は高校時代に大学で学びたい分野が定まっていなかったため、SILSに進学しました。統計学やAI等のデータサイエンス(DS)の科目を履修する中で、データから有用な知見を発見することに可能性を感じ、興味を持ちました。稲葉教授のゼミでAIの研究を行う中、DSの仕組みをさらに探求し、より実装力の高い人財へと成長したいと想い、現在の研究室を志望しました。SILSは人文科学、社会科学にとどまらず、物理学、数学、情報学等の理工系科目が充実している、真の”国際教養学部”であったため、心が動く分野を見つけることができました。
― 現在SILSで培った英語力は活きていますか。
私の研究室は半数が日本人以外の学生であり、ゼミは英語で行われています。また、英語論文の参照や英語の発表スライドの作成等、日常的に4技能全てを駆使しています。これもSILSでの充実した英語4技能の授業の必修化や、教材、授業、発表、レポート等で英語力が日々鍛えられてきた賜物だと改めて感じます。当時は気づきませんでしたが、他学部ではなかなか叶え難い環境であったと思います。私はSILSの中で少数派である海外経験がない所謂”純ジャパ”の学生であり、必須である1年間の留学が中止となった学年でもあります。そのような私でも英語力が身につき、大学院でも英語でゼミや授業に参加し、自由自在に発表や議論ができています。
― その他に今にして感じるSILSの強みを教えてください。
多様な学問領域の授業を受講できるため、多面的に物事を捉えられる点です。変化の激しい世の中を見据え、学問を日常の問題に落とし込んで物事を考えることができています。これは理工系の研究をする上でも、大変役に立ち貴重なことだと思っています。また、SILSという多様性に富んだ環境で学部時代を過ごしたことで、研究室での生活は勿論、今後の進路でも身に着けた様々な価値観を活かし、コミュニケーション力が発揮できると確信しています。
― 理工系の大学院入試について教えてください。
大学院入試では、主に英語スコア、筆記試験、研究計画書や面接対策に取り組みました。英語はSILSでの学びのお陰で、良いスコアを提出でき苦労しませんでした。筆記試験では数学やDSに関する問題が出題されました。これらの科目は、SILSの授業や稲葉教授のご指導のお陰もあり、大学入学時には文系だった壁を突破できました。また、計画的に目標から逆算してコツコツと、そして内容を楽しみながら、学べたことが何より大きかったです。研究計画書や面接対策についても、稲葉教授に納得いくまでご指導いただき、十分な対策ができました。内部進学が一般的な大学院入試において、他大学かつ国際教養学部からの挑戦は困難でした。また、友人たちの将来が決まっていく中、進路が決まっていないことへの不安もありました。それらを乗り越えることができたのは、SILSの授業、稲葉教授の丁寧なご指導、学問分野への好奇心があったからこそだと考えています。
― 高校生へのメッセージをおねがいします。
高校と大学の学びは全く別物です。授業はあくまでもきっかけにすぎず、それをいかに主体的に自分の興味に繋げていくかが、大学の学びでは重要です。SILSではその学びを英語で叶えられます。日本ではよく大学受験が人生の英語力のピークであるケースが多いと言われていますが、SILSで4年間しっかりと学ぶことで卒業時にはそれ以上の力がついているといえるでしょう。是非、SILSで自分の可能性を広げていってください!
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