From the Dean

学部長挨拶

早稲田大学教育学部と早稲田大学教育・総合科学学術院

教育学部長 澤木 泰代

 

早稲田大学教育学部は、大学院教育学研究科、教育総合研究所、教職支援センターと共に、教育・総合科学学術院に属しています。教育・総合科学学術院には、教育学部で教育・研究に携わる教員に加え、専門職大学院である大学院教育学研究科高度教職実践専攻で研究・教育にあたる教員も所属しています。本学術院所属の理学科の教員と数学科の教員の一部は、大学院基幹理工学研究科・先進理工学研究科・創造理工学研究科で研究指導にあたっており、また、文科系の教員の一部も、学内の他の学術院に属する大学院でも研究指導を担当しています。「教育・総合科学学術院」という名称は、教育学にとどまらず、教科教育各分野に関連する文科系・理科系の諸科学・諸学問の専門家からなる本学術院の、学問的多様性を表すものです。(大学院教育学研究科、教育総合研究所、教職支援センターについては、それぞれのHPをご覧ください。)

早稲田大学教育学部――教員免許の取得を前提としない教育学部

早稲田大学教育学部は、1903年に設置された早稲田大学高等師範部を前身に、1949年に私立大学初の教育学部として設立されました。学生数、教員数、教育研究領域の広さにおいて、学内随一の規模を誇る本学部は、教員養成を主な目的としながらも、教員免許の取得を卒業要件としていない点に大きな特徴があります。この点で、教育学の研究・教育を主な目的とする旧帝国大学などの教育学部や教員免許の取得を卒業要件とする他大学の多くの教育学部とも異なります。教育学科(教育学専修・生涯教育学専修・教育心理学専修・初等教育学専攻)、文系・理系それぞれの専門分野の研究や教科教育に対応する国語国文学科・英語英文学科・社会科(地理歴史専修・公共市民学専修)・理学科(生物学専修・地球科学専修)・数学科、そして既存の枠組にとらわれず新しい知の創造を目指す複合文化学科の7つの学科から構成される本学部では、初等・中等教育の各教科や語学教育に関連する様々な専門分野や、学問の最先端について学べる授業を展開しています。

小さな総合大学ともいえる早稲田大学教育学部では、教員免許を取得して教員になることはもちろんのこと、調べ・学び・考え・教え・伝えるという広い意味での〈教育〉に関わる知見と、高度に専門的な学識を身につけて、広く社会に貢献し、また学問の発展に寄与しうる能力を身につけることができます。

変動する社会と向き合い、〈教育〉の視点から広く社会に貢献する力を培う

教育の営みは、学校の中だけで完結するものではありません。企業などの組織や家庭を含め、広く社会全体を学びの場とし、知識を授けることだけでなく、「学ぶ楽しさ」も伝えることが大切です。教育は、第一義的には人間を育てる営みですが、先人から受け継いだ知恵を生かし、新たな価値を創造することで、よりよい社会の実現を目指すものでもあります。深刻化する地球環境問題や度重なる自然災害、世界各地で頻発する紛争や食糧問題など、社会はいま多くの課題に直面しています。また、近年の目覚ましい人工知能(AI)の発達により、従前の常識や解決策が揺らぎつつあります。こうした混沌とした時代であるからこそ、社会が抱える諸課題を冷静に分析し、次代を担う人材を育成する教育への社会的要請は高まり、それを担う人々への期待もまた大きくなっていると言えます。

早稲田大学教育学部の卒業生は、教育界はもちろんのこと、一般企業・出版社・マスコミ・官公庁・大学をはじめとする研究機関など、あらゆる分野で活躍し、文芸、美術、演劇などの芸術分野やスポーツ界においても、目覚ましい成果を挙げています。早稲田大学教育学部には、多様な学問領域に触れつつ、教員を目指す学生と、教員以外の進路を選択する学生とが共に学ぶ環境があります。教員養成に特化していない教育学部だからこそ、現代社会の諸課題に取り組むことのできる、広い教養と高い学識、そして豊かな人間性を兼ね備えた卒業生を、様々な分野に送り出しているのです。同じ教育・総合科学学術院に属する大学院教育学研究科、教育総合研究所、教職支援センターと共に、今後もその役割を担いつつ新たな可能性を追求し、〈教育〉の視点から社会に貢献していきたいと考えています。

澤木 泰代(さわき やすよ):英語英文学科所属、専門は応用言語学