• News
  • 【2026年7月26日(日)】シンポジウム「デジタルアーカイブ推進基本法の実現に向けて」

【2026年7月26日(日)】シンポジウム「デジタルアーカイブ推進基本法の実現に向けて」

【2026年7月26日(日)】シンポジウム「デジタルアーカイブ推進基本法の実現に向けて」

0726

SUN 2026
Place
早稲田大学早稲田キャンパス3号館 801 教室
Time
16:30~18:30(開場16:00)
Posted
Wed, 08 Jul 2026
  • 日時:2026年7月26日(日)16:30~18:30(開場16:00)
  • 場所:早稲田大学(早稲田キャンパス3号館 801 教室)
  • 対象・参加方法:一般公開・参加費無料・事前登録不要。
  • 主催:デジタルアーカイブ学会/共催:早稲田大学
  • 言語:日本語
  • プログラム:約120分(2時間)*詳細はこちら
  • お問い合わせ:
    持家 学(本企画セッション広報担当)
    E-mail: [email protected]
    秋野 有紀研究室(教育・総合科学学術院 教授)
    E-mail: [email protected]

シンポジウム概要

日本の文化資源と知識基盤の将来を左右する「デジタルアーカイブ推進基本法」―その制定に向けて議論を牽引してきたデジタルアーカイブ学会(会長:黒橋禎夫・国立情報学研究所長)が、早稲田大学にやってきます。法案の国会提出も今後の視野に入ってきた今、与野党のキーパーソンと研究者、文化・クリエイティブ分野の実務家が一堂に会します。リアルタイムで生のディスカッションの熱気を会場で体感できる貴重な機会を、どうぞお見逃しなく!

以下の問題意識を持っている方には特におすすめ:

・コロナ禍以降、デジタルアーカイブやヴァーチャル展示をよく見かけるようになったけど、なぜ今、法律が必要なの?
・法律って、成立前にどんな議論がされて、どうやって成立していくんだろう?
・デジタルアーカイブって、ミュージアムの作品をデジタル化する以外にもあるの?
・生成AIの発展が著しい今、何がそもそも課題なの?
・デジタルアーカイブって、何?

登壇予定(50 音順・敬称略)

・ 赤松 健(参議院議員・自民党、漫画家)
・ 秋野 有紀(早稲田大学教育・総合科学学術院 教育学部 教授)
・ 浮島 智子(衆議院議員・中道改革連合)
・ 黒橋 禎夫(国立情報学研究所所長・デジタルアーカイブ学会会長)
・ 森永 邦彦(ファッションデザイナー・ANREALAGE デザイナー)
・ 渡邉 英徳(東京大学大学院情報学環・学際情報学府 教授、当会理事)
司会:福井 健策(弁護士・デジタルアーカイブ学会副会長・同法制度部会長)

 

赤松 健

秋野 有紀

浮島 智子
黒橋 禎夫 森永 邦彦 渡邊 英徳
司会:福井 健策

シンポジウムの趣旨と背景

生成AIの登場により、ますますデジタルでの情報提供のありようが人々の世界の見方や判断を方向付ける時代になりました。すでに言語間のパワー格差が、情報空間における影響力格差にも直結する、と指摘され、各国では信頼できる知識基盤の整備が国家的課題となっています。
そのため、博物館や美術館、図書館、公文書館などではデジタルアーカイブ化の推進が求められています。しかし日本では今、人材・予算・権利処理など多くの課題を抱え、貴重な資料や記録の散逸が進んでいます。

もっとも、デジタルアーカイブは文化機関だけの問題ではありません。長い時間をかけて蓄積・継承されてきた信頼できる知識や経験を保存し、誰もが利用できるようにすることは、防災や教育、地域づくり、研究、産業、文化創造など、私たち一人ひとりの暮らしと社会を支える基盤となります。過去の創造から学び、新たな創造を生み出してゆく営みにも、デジタルアーカイブは欠かせません。そして、日本で整備された知識基盤は世界中の人々に参照され、同時に世界の知識基盤も日本社会を支える時代になっています。

人類の歴史において、知へのアクセスを誰が握るかは、常に権力のあり方と結び付いてきました。グーテンベルクの活版印刷はその構造を大きく変え、近代国家は書物、新聞、学校、図書館、ミュージアム、劇場などの知のインフラを整備することで、人々が自ら判断し、担うことができる「民主社会」を築いてきました。
しかしデジタル社会の進展で、この構図そのものが変わりつつあります。これまでは国家と市民の緊張関係を中心に、憲法や制度が設計されてきましたが、今や巨大プラットフォーマーやAI企業が、どの情報を蓄積し、どの知識を出力するかを設計できる存在となりつつあります。知識基盤を誰が構築し、どのような価値観で運営するのか。その問いは、民主社会そのものの将来的なあり方に直結する課題となっています。

日本はこれまで、個別分野ごとにデジタルアーカイブの利活用を促進する法制度を整備してきました。しかし、現場でいざデジタルアーカイブに着手しようにも、個別の法を見通すには複雑で、何よりそれらを支える理念や方向性を社会全体として共有する枠組みは、なお十分とは言えません。生成AI時代において、信頼できる知識基盤をどのように築き、未来へ継承していくのか。その基本理念を示すことが求められています。
EUでは、個別のルールのみならず、その前提となる「どのような社会を目指すのか」という理念や価値を議論し、そこで合意した内容をまず示し、その上でさまざまな制度を構築しています。個別のルールを積み重ねるだけでなく、その上位に社会全体の方向性を掲げることで、民主主義や人間中心という価値をデジタル社会の中で守ろうとしているのです。日本も個別法を積み重ねるだけではなく、どのような知識基盤を築き、どのような民主社会を次世代に引き継ぐのかという理念を示す必要があります。その役割を担いうる法律のひとつとなるのが、「デジタルアーカイブ推進基本法」です。

「デジタルアーカイブ」と聞くと、博物館や美術館の所蔵品をデジタル化する取組を思い浮かべるかもしれません。しかしその本質は、情報社会における信頼できる知識基盤をいかに構築し、誰もがアクセスし、判断力を養う機会に開かれた社会を実現するかという、民主社会の根幹に関わる問いにあります。
人類や社会のあり方が大きく変わる歴史的転換点に立ついま、私たちはどのような社会を築いていくのか。―その根幹に関わる重要なテーマについて、「デジタルアーカイブ推進基本法」を軸に、与野党のキーパーソン、研究者、文化・クリエイティブ分野の実務家が議論します。
それは単にデジタルアーカイブを推進するための個別法ではありません。近代国家にとって憲法が統治の基本原則を示したように、巨大プラットフォームと生成AIの時代に民主社会を支える知の基盤をめぐる基本原則を示す、いわば21世紀日本の「知の憲法」ともいうべき役割を担うものになるでしょう。