School of Education早稲田大学 教育学部

【国語国文学科】日本語の,言語としての面白さを伝えたい! 「日本語学 A・B」科目紹介

科目概要

  • 教員名:松木 正恵 教授
  • 科目名:日本語学 A・B
  • 学科専攻専修:国語国文学科
  • 科目区分:3年必修

音声・アクセントから文字・語彙・文法,そして文章・文体・談話の世界へ。時代的にも上代から現代まで,幅広く日本語そのものを見直していきます。

この授業は,国語国文学科の3年次必修科目として,日本語学の各研究領域・分野・方法についての総合的な知識を身につけるとともに,自分なりの日本語に対する見方を涵養することを目的としています。

日本語学の研究範囲は多岐にわたります。まず,対象とする日本語の要素を小さい単位から順に見ていくと,音声・音韻,アクセント・イントネーション,文字・表記,語彙,文法,文章・談話等の諸領域があります。また,先の言語要素別研究領域とは異なり,言語要素のレベルは限定せずに総合的に分析対象とし,一定のテーマを追究する研究分野として,意味論,語用論,方言,待遇表現,言語生活,言語情報処理,日本語史,日本語学史,対照研究等もあります。更に隣接する学問領域としては,言語学の研究方法として日本語学とも関連の深い,社会言語学,認知言語学,心理言語学等があり,一方,教育の観点からは,日本語教育学との接点も非常に大きいと言えます。

一年間でこれらをすべて概観することは難しいのですが,言語要素別研究領域については古代語・現代語両面から網羅的に,研究分野・研究方法については重要事項を適宜選択しながら解説しています。

国語国文学科では,1年次必修科目として「日本語文法」があります。この授業では,日本語学の中でも中学・高校時代からなじみのある「文法」領域に絞って,母語ゆえに気づかないいろいろな問題点を再発見していきます。その経験を踏まえて,3年次のこの授業では日本語学の全領域について考察を深めていくことになります。なお,日本語学関係の授業としてはこの他に,基幹選択科目として「日本語学演習Ⅰ」「日本語学演習Ⅱ」,広域選択科目として「日本語史Ⅰ・Ⅱ」「日本語の諸相」が設置され,更に日本語教育科目としては,「日本語教授法入門」「日本語教育演習Ⅰ・Ⅱ」等が設置されていますので,日本語学・日本語教育に興味のある方には充実したカリキュラムが用意されています。

日本語学が扱う研究対象・時代・方法・隣接領域等の解説画面

文法は「暗記する」ものではなく、「考える」もの、「発見する」ものです!

これまで中学・高校時代に学んできた文法は,既に決まったルールとして暗記することを求められ,なぜそうなるのかといった理由は問わないものだったのではないでしょうか。しかし,そこで教えられてきた文法は,あくまでも一つの見方に過ぎません。一口に文法と言っても,実はいろいろな見方・解釈が許される,というのが大学で学ぶ文法なのです。つまり,「自ら考え,自ら発見する文法」です。これは,文法に限らず,日本語学の全ての分野・領域について言えることです。日常話したり書いたりしている身近な言葉遣いを素直に観察してみることで,ふだん気づかないような法則性を探り出すことこそ,日本語学の醍醐味なのです。授業の中だけでなく,日常生活の中でも,母語だからこそ見逃しがちな言葉の法則性に気づく,そのような創造的作業の面白さに是非とも気づいてほしいと思います。いわゆる「日本語再発見」です。

そのため,この授業は必修の講義科目で履修者は多いのですが,授業中頻繁に指名し,個別に設問に答えてもらっています。単に受け身で授業を聞くのではなく,演習と同様,一人一人が積極的に自分の頭で考えようとする主体的な姿勢が求められているのです。授業は,指定の教科書のほか,パワーポイントやプリントを多用しますが,時々「わせポチ」というスマホで回答できるクリッカーを使用し,択一問題や記述式問題を通して,履修者の見方・捉え方や意見を集約しています。その結果がリアルタイムで円グラフ等の形で教室のスクリーンに表示されますので,その時には驚きや発見の声が多く漏れたりして,授業が大変盛り上がります。

 

オンライン授業の場合クリッカーは使えませんが,下の写真で示したように,履修者の課題回答を集約し,翌週の授業時に必ずフィードバックしています。

現代語の音声学・音韻論の課題回答……本来のアクセントが変化して「平板化」した語のリスト

未来の日本語を,私と一緒に探してみませんか?

大学時代は,これまで当たり前と思っていた事柄に対して,本当にそれでいいのか,なぜそうなるのか,別の捉え方はできないのか,といった疑問を日々持ち続け,それを解決するために努力を続けながら,自分なりの見方・考え方をしっかりと築き上げていく重要な時間です。

日本語に対する捉え方も全く同じです。これまで,外国人の日本語学習者等に,「は」と「が」の使い分けなど日本語表現について質問され,うまく説明できなかったという経験のある人はいませんか?日本人なのに日本語について説明できないなんて,と落ち込んだ人もいるかもしれません。でも,落ち込む必要は全くありません。実はできなくて当然なのです。日本語母語話者は,赤ちゃんの時から日本語を無意識に学んできたわけですから,日本語のルールも無意識に自然に身に付けていますので,改めて論理的にきちんと説明することなどできません。「何となく」とか「語感で」としか言いようがないのです。

そこで,母語である日本語を一度頭の中から取り出して,英語や中国語等の他の言語と同様,客観的に見つめ直してみてください。そういった経験をいろいろと積んでいくことで,少しずつ日本語のルールが見えてくるはずです。「は」も「が」も,単に主語を表す助詞として見ているだけでは,本当の日本語の使い方はわかりません。中学・高校の学校文法で習った「動詞の活用」「品詞の区別」「文の構造」などにもいろいろな見方がありますし,言葉は日々変化していますので,現在誤用と言われている「ら抜き言葉」等の現象も,いずれは定着して正用になるかもしれません。日本語再発見の旅に,私と一緒に出かけましょう!

「ら抜き」は「ら」抜きではない!

 

 

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