School of Education早稲田大学 教育学部

【地球科学専修】学問もやりたいことも、大学生活を謳歌する

科目情報

  • 科目名 :火山学
  • 科目区分:2年必修
  • 執筆者 :中村 純(理学科地球科学専修)

巨視と微視 数十万年から数十秒、数百㎞から数㎛まで

私が紹介する科目は2年必修科目の火山学である。この科目の導入は非常に丁寧であり、最近の火山噴火の紹介や用語解説、火山学の意義などから始まる。何故、マグマの組成の多様性や、マグマの地下での上昇プロセス、火山噴出物などといった事柄を学習し理解する必要があるのか。第一回目の講義でその理由を知ることで、知的好奇心を刺激される。面白い講義とは導入からワクワクするものである。
第二回から第七回までの講義は主にマグマについて学ぶ。何故マグマは上昇し停滞するのか、噴火様式の多様性を生み出す要因は何かを把握することが目的である。ここでは、1年の必修講義(地質学入門―地球の物質―)で獲得したマグマの知識を更に広げ、発生から噴火までの様々な現象を理解することになる。
第八回以降の講義は火山噴出物や噴火様式について学ぶ。火山噴出物の種類や噴火様式はマグマの物性や火山の周辺環境によって変化する。本講義でそれらを学ぶと、ある火山の地形や存在する火山性堆積物の種類から、それらを生成した噴火の様式の推定や、火口周辺の環境・噴火に関わったマグマの組成、そして今後起こりうる噴火様式を列挙することができるようになる。
講義全体で特に興味深いはマグマの粘性である。含水量や温度などによりマグマの粘性は決定され、それがマグマ中での結晶の移動や噴火様式にまで影響を与える。この講義では、数十万年に及ぶ火山の形成や、たった数十秒でのマグマ溜まりからのマグマの上昇と噴出、数百㎞にわたる噴出物の拡散と堆積から、マグマ中の結晶に見られる数㎛スケールの組織まで多様なスケールでの現象・物体を扱うが、マグマの粘性も様々なスケールで影響を与える現象の一つといえるだろう。
巨視と微視を使い分け、体系的な知識を会得できる。有意義でかつ面白い火山学をぜひ受講してもらいたい。

 

粘性の異なるマグマが作る火山地形の差ースコリア丘(手前)と溶岩ドーム(奥)(薩摩硫黄島)

 

マグマ溜まりで輝石にトラップされた珪酸塩メルト(茶色部分; 直径20μm)

受験生の皆さんへ:大学入学後にやりたいことはありますか

大学での生活はそれまでに比べ、自由なものです。学問や研究にのみならず、趣味やサークル、留学にバイトなど様々なことを経験できる、人生において貴重な時期といえるでしょう。私も以前より興味のあった火山学を専攻し、なおかつボランティア系サークルの幹事長を務めています。学問とやりたいことを両立させることは楽ではありませんが、大変充実しています。
では、受験生の皆さんは大学入学後に何かやりたいことがありますでしょうか。考えたこともない方もいるかもしれません。ですが、ひとまずの目標は興味のある学部学科の合格で十分でしょう。受験勉強などで忙しいでしょうから、ちょっとした合間に考えてみてください。きっと大学生活がより楽しみになりますよ。早稲田大学でやりたいことを見つけられるよう、心から応援しています。

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