- 概要:この講義では、スターリン死後の「雪解け」以降に展開された、目に見えないながらも活気に満ちたソビエト・アンダーグラウンド・アートの世界を紹介します。社会主義リアリズムが公式の芸術様式として君臨する中、多くのアーティストたちはアパートやスタジオといった私的空間で、密やかな抵抗としての創作と展示を行っていました。本講義の前半では、この非公式なアートシーンがどのように始まり、やがてより大胆に公の場へと展開していったのか、1974年に当局によって強制的に破壊された「ブルドーザー展」を含めて振り返ります。後半では、この時代のオルタナティブな美学とコンセプチュアルな潮流を象徴する主要なアーティストやグループを紹介します:オスカー・ラビン、フランシスコ・インファンテ、エリック・ブラートフ、ヴィクトル・ピヴォヴァロフ、コマール&メラミッド、そしてコレクティヴ・アクションズ・グループ。 現在の複雑な時代においても、彼らの姿勢は単なる美学を超え、困難な状況下でいかに創造を持続し、意味を生み出すことができるのかという、力強いヒントを与えてくれます。
- 日時:2025年6月10日(火)13:10 ~ 14:50
- 場所:早稲田大学 早稲田キャンパス16号館308教室
- 司会:鴻野わか菜(早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授)
- 講演言語:日本語
- 対象:学生・大学院生、教員、一般
- 問い合わせ:鴻野研究室 [email protected]
- 無料。予約不要
<配慮が必要な方へ>
文字通訳、手話通訳、場内誘導、座席の確保、お子様連れでの参加等について配慮をご希望の方は、原則として開催日の3週間前までにご希望の内容をお知らせください。ご相談のうえ、できる限りの対応を検討させていただきます。
◇コズリナ,ナディア(Kozulina, Nadia) 氏略歴
1981年モスクワ生まれ。モスクワ・グラフィックデザインアカデミー卒業後、グラフィックデザインやアニメーションの分野で活動。その後、大人向けの絵画指導に携わる。2013年に来日し、岐阜県の情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の修士課程に入学。2015年に修了し、東京に拠点を移す。現在は東京を拠点に、ロシア語およびロシアのアート史の教育に携わりながら、イラストレーター・絵本作家としても活動中。著書に絵本『Floating Light of Japan』『セリョージャとあそぼう』(Let’s Play with Seryozha)がある。また、帝京大学にて言語と文化の交流を目的としたプロジェクトを主導している。