第14回 早稲田大学・美濃加茂市文化交流事業 学生演劇公演
早稲田大学Seiren Musical Project参加作品「シャッターチャンス」
11月より、学生ミュージカル団体「Seiren Musical Project」による映像作品がYouTube上で公開となりました。
◎配信URL⇒https://youtu.be/KRsTNL6LJds
この作品は本学と岐阜県美濃加茂市で行っている文化交流事業「学生演劇公演」として制作されました。
これまでは学内の選考で選ばれた学生団体が美濃加茂市に1週間滞在し、稽古・野外での公演を行っていますが、今回は新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、学内で制作した作品をオンライン上で公開しました。
1年の延期を待ってもなお美濃加茂市へ赴くことはできず野外劇は叶いませんでしたが、広く、より多くの方へ作品を届けるため「映像作品」という新たな目標に向かい、制作を進めてきました。
企画の立ち上げから約2年。その間に感じたこと・考えたこと全てが『シャッターチャンス』に込められ、作品を通して皆さんにエールを届けます。
- 「シャッターチャンス」のメンバー
1.作品を観てくださる皆さまへ
- 2019年11月に企画が発足してから完成まで、とても長い時間がかかりました。当時2年生だったら私も、もうすぐ卒業を迎える4年生です。
長い時間をかけて沢山の方々の支えを受けたからこそ、ここまで辿り着けたと心から感じています。
どんな時代でも、希望を持ったもん勝ちです。希望を持って行動すれば、きっと誰かが見ていてくれます。
この作品にかかわってくださったSeiren Musical Projectの仲間たち、今この文章を読んでくださっている皆様に、感謝申しあげます。
(Seiren Musical Project 16期 青山恭子) - 2年弱携わってきたこの企画が終わりやっと一息つけました。
その間に世の中大きな変化が起こり、この企画も当初の予定とは違うものにもなりました。そんな変化の時代に僕が感じ考えてきたものをテーマにこれを演出しました。出過ぎたことかもしれないですが、これを観た皆様が何か一つでも明るいものを見つけてくれたらなと思います。
またこの企画に少しでも関わってくださった皆様、応援してくれた皆様誠にありがとうございました。(Seiren Musical Project 17期 緑川雅貴)
- 関係者向けゲネプロ
- 収録の様子
美濃加茂市のみなさまへ
- 美濃加茂市の皆様。はじめまして。
今回は、実際に美濃加茂市に訪れることができず、とても残念です。現地での楽しい想像が膨らんでいただけに、それが叶わないと決まったときは、悔しい気持ちになりました。
しかし、この事業を通して、美濃加茂市や私たちを繋ぐシェイクスピアについて学ぶことが出来ました。人の移動が制限される中で、私たちと美濃加茂市の架け橋となるような作品を生み出せたこと、本当に嬉しく思っています。いつの日か、今回の公演のメンバーで、美濃加茂市へ訪れます。その日を、心より楽しみにしています。
(青山恭子) - 美濃加茂の皆さんこんにちは。
岐阜県美濃加茂市という自然豊かな場所で実施する予定でしたが、今回は映像配信という形になり残念です。個人的にも少し縁があったため本当に、現地で作品を発表することが楽しみでした。
ですが、美濃加茂の皆様に液晶越しでも伝わるように、心を込めて演出から映像撮影、編集をさせていただきました。また、作品では再起や懐かしさみたいなものをイメージしています。美濃加茂と早稲田との繋がりの中で、そのようなものを感じていただけたらと思います。この作品が、美濃加茂と早稲田との架け橋となれば幸いです。
(緑川雅貴)
Youtubeの詳細欄のアンケートフォーム・みのかも文化の森instagramでは、作品の感想・ご意見を受け付けています、ぜひメッセージをお寄せください!
2.振り返り(レポートより)
参加した学生たちで本公演について振り返り、この企画を通して学んだことや気づいたことを発表し、意見交換をおこないました。
- 作品には参加学生の様々な思いが込められていました。
- 主人公の出身地や劇団の所在は美濃加茂市の設定で、劇中にもシェイクスピアの『間違いの喜劇』を挿入しました。これらが美濃加茂市との交流となれば嬉しい。
『間違いの喜劇』の1シーン
- 制作を進める中で否が応でも「コロナ」という言葉が頭にちらついた。大きなストレスだったが、気持ちを切り替え、可能な限り関わってくれる(観てくれる)人が楽しく、笑顔になれたらよいなと考えるようになった。
- 2年間、様々なことが起こり、自分の中の頑張る理由も失っていた。きっと多くの人がこのコロナ禍で一時であれ、もう何もやりたくない、頑張りたくないという感情になったことがあると思う。僕はこの作品と向き合っていくことで、その感情を克服できた。
- 演出を初めて担当し、作品の見方が変わった。また撮影も行ったので「どこをお客さんに見て欲しいのか」をよく意識するようになった。
役者の細かい表情が観れるのも映像ならでは
- 何通りをも計画を用意し、公演形態が変わっても対応できるよう準備していた。それには「人の努力を無駄にしたくない」という考えがあり、主宰として作品を作り続ける責任を感じていた。公演を終えた今、複数の物事について同時に考え、実行する力を得たと感じる。
- サークルとして「初」のことに挑戦したいと思っていた。野外劇の挑戦が頓挫したが、このまま何もチャレンジしない公演になれば、視聴者・参加者にとって魅力の薄れた企画になってしまうと思った。模索した結果、1本の作品をカット割りして撮影し、半分映画・半分舞台のような、サークルで初となるミュージカルの映像作品を作ることが出来た。
- 他者と協力して物事を行うことの大切さを感じた。コロナで昨年から何をするにも一人のことがほとんどで、それが当たり前になっていた。しかし1年以上ぶりに演劇に携わり、他者と力を合わせ公演を作り上げる中で、一人ではいかに何もできないかということを思い出した。またより一層人と人との繋がりを感じることのできた暖かい時間になった。
映像を確認、何度も撮影を重ねました
- 映像配信という形になって良かったと思う。従来の演劇の形では絶対に見つけることのできなかった、より良い上演形態を発見できたからである。コロナ禍の不自由にばかり目を向けて嘆くのではなく、そこから新しくより良い表現のあり方を、試行錯誤を重ねながら見つけていきたい。そして、そうして生まれた新しい文化をより多くの人や地域に届けていきたいと思う。
- コロナ禍で演劇を行うにあたり、観客の重要性を強く感じた。拍手やその場でしか作られない演劇の良さ、生のドキドキ感は映像を通して伝えることが難しかった。
- 新型コロナウイルスの影響で対面での交流が困難なことは重々承知しているが、オンラインでの交流会等を次年度以降実施していけると、より美濃加茂市との繋がりを感じる事業になるのではないかと感じる。
- 美濃加茂市の皆さんにとっても、直接的な交流や野外劇を観る機会が2年連続でできなかったということになる。だからこそ必ず公演を成功させ映像作品を届け、ミュージカルの楽しさを伝えたいと思った。
芝居・歌の練習にも励みました
- 2か月間集中して稽古に取り組むことができ、芝居に対しての姿勢を考え直すきっかけとなった。
- 完全オリジナルの脚本、楽曲を用いた公演はあまり打たれず、今回は試行錯誤を重ねながらの公演となった。誰からの提案であっても、より良い作品づくりにつながることは何でも柔軟に貪欲に取り込み、スタッフ・キャスト含め本当にみんなで作り上げた作品になった。
- この作品は『頑張る理由』をテーマに製作された。人が何かを頑張ろうというときに自分や家族、親しい誰かの存在が頑張る理由になり得る。コロナ禍で頑張る理由を見失ってしまった方もいらっしゃると思う。映像越しでも全世界が同じ状況下に置かれている現在だからこそ、共有できるものがあるのではないかと思う。本作が少しでも誰かの「頑張るきっかけ」になればうれしい。
- 初めての演助を行い、少しずつカンパニーや稽古場をきちんと俯瞰して自分で管理できるようになったと思う。また、作品理解の仕方や役作りなど、今後キャストとして一つの役を演じるための勉強にもなった。自分の理想の演出助手像にはまだまだほど遠いが、今回の失敗や成功など全ての経験を次のカンパニーでも活かしていきたい。
舞台を観ているような臨場感も映像で!
- 今回の作品『シャッターチャンス』では「頑張る理由」というのが一つの大きなテーマである。稽古中キャストと作品理解をしていく中で、自分の中でもサークルや学業に関してこの頑張る理由を考えるきっかけになった。苦しい事があったり辛いことがあったりして頑張れない、どうしたら良いか分からなくなった時でも、『頑張る理由』を考え直し見つめ直して、また前に進む事ができると思う。作品を観た人にも伝われば良いなと思う。
キャスト・スタッフ
【キャスト】かすみ 青山恭子、あけみ 上田智佳未、りな 大坪奈央、さく 赤井優生、はる 小寺圭吾
【企画】青山恭子・緑川雅貴【演出】緑川雅貴【脚本】佐伯 萌・緑川雅貴
【音響】高橋秀雄(株式会社アントラクト)【照明】杉ひなた・馬場美世
【振付】藤澤真帆【演出助手】川井瑞穂【舞台監督】坂元遥【制作】田中母都子【広報美術】今野桃衣・常盤玖瑠実
【公演収録】後藤大道・緑川雅貴
【作詞】今野桃衣・佐伯 萌・緑川雅貴【作曲】磯崎彩華
Special Thanks!大月里子、中川才人
主催
早稲田大学文化推進部文化企画課
みのかも文化の森/美濃加茂市民ミュージアム
協力:坪内逍遙博士顕彰会
お問い合わせ
早稲田大学文化推進部文化企画課
03-5272-4783 [email protected]
- 公演チラシ(表)
- (裏)