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「村上RADIO ステイホームスペシャル〜明るいあしたを迎えるための音楽〜」を聴いて【国際文学館】

村上春樹さんがDJをつとめる「村上RADIO ステイホームスペシャル〜明るいあしたを迎えるための音楽〜」と題した2時間スペシャル番組が5月22日(金) にTOKYO FMでオンエアされました。

村上春樹氏のラジオを拝聴した。副題は「明るい明日を迎えるための音楽」。番組中に流れた様々な曲や、村上春樹氏の言葉は、この困難な状況において、私たちがもう一度前を向く手助けをしてくれているように感じた。がむしゃらに背中を押すのではなく、こんなときこそ落ち着いて構えてみよう、と優しく声をかけるような、そんな番組であったように思う。

村上氏は、なにかにつけ白黒をはっきりつけようとする昨今の風潮に対して、以下のように述べている。「白か黒かよくわからないところで生き惑うのが人間だし、その姿を思いやりをこめて描いたり、あるいは癒したりするのが音楽や小説の本来の役目ですよね。」

小説を読んだり、音楽を聴いたりすることは、自分の知らない世界や価値観と出会うきっかけになるだろう。それは、混乱した現在を生き惑う私たちに、新たな道を示してくれるかもしれない。確かに、すぐさま分かりやすい答えを出してくれる作品に出会えるとは限らない。むしろそんなことは少ないだろう。しかし、様々な出会いを繰り返す中で、道は拓けてくるのではないだろうか。

2021年4月、村上春樹ライブラリーが開館予定である。書籍やレコードなどの資料を通じて、村上ワールドを体感できるのだそうだ。学科の垣根を超えた様々な学生が立ち寄り、それぞれが新しい何かに出会うきっかけの場になることを期待したい。

 

中澤 オリバー 輝 (国際教養学部3年)

まず、本学が輩出した世界に誇る文学者を称え、その作品とともに素晴らしい文学館が誕生することを一早大生として心より御喜び申し上げます。

村上春樹ライブラリーには、早大生とって異なる価値観がぶつかる瞬間を創り出す空間になることを期待します。50言語以上に出版された村上春樹さんの作品が館内に置かれることによって国内の学生のみならず、早稲田に集う世界各国から来た留学生も実際に手にとって読むことが可能となります。この魅力を活用し、村上さんの作品で表現される我々の心に訴えかけてくるような隠されたメッセージを読み解き、異なる考察をお互いがディスカッションするのが理想ではないでしょうか。やはり様々な地域から集まった学生は様々な価値観をもっており、村上さんの作品を一つの「ツール」として活用し、利用者と内容等のディスカッションを通して自らの世界観を広げられれば、理想的な場所になると思います。今まで早稲田にはなかった境界線のない、国際的なシンボルになることを期待します。

村上さんとは、コロナ禍後の変化について考えていければなと思います。おそらく今回のコロナウィルスの影響から、個人の「当事者意識」というものに変化が起きるのではないかなと思います。例えば、今回のコロナはある意味「目の前に迫る恐怖」だったと思います。そのため、外出自粛をする方が増え、オンライン上で様々な取り組みを行うことでウィルスの蔓延を防いだ面があります。このことが、ある意味我々人間の物事に対する当事者意識を高め、今後は、多くの社会問題に関心を寄せ、行動する人が増えるのではないかと思います。

ぜひ、村上さんの見解をお聞きしたいです。

 

山﨑 ゆみな (政治経済学部3年)

ガラリと変わった生活、なかなか温もりや心遣いを直接感じにくい「いま」。曲に刻まれた「灰色の空」や「絶え間ない雨」などを世相の象徴のように感じました。同時に、「晴れ渡った空」や「虹」というものを、私達が望んでやまない自由や平和のシンボルと捉えることも出来ます。また曲の幾つかには「辛い時こそ笑顔で居よう」というフレーズも。今こそ前向きでいるべきなのだと奮い立たされました。

特に「目にする全てが美しい」と詠う” What A Wonderful World”を聴き、改めて身の回りの環境に感謝しました。たとえ社会が目まぐるしく変わろうとも、私は自分と周囲、そして今を大切にしたいと考えます。村上氏が「人生は思い出がなければカサカサの砂漠のよう」と仰る通り、どのような経験も自己成長に繋がると信じるからです。これまで自分が受け止めた変化や思いを人生の糧にしたい、と強く思いました。

ラジオを通して、村上氏の温かいお人柄を一つ一つのお言葉に感じました。特に「トンネルには必ず出口がある」との励ましには、リスナー、一人の人間として大いに鼓舞される思いでした。必ずこの靄が晴れるときが来るのでしょう。

この度、世界中で愛される「村上春樹文学」を研究できる場が、身近な学び舎に設けられることを大変嬉しく思います。文学や音楽はもちろん、芸術の素晴らしさと心を打つ魅力を学び、開館がより楽しみになりました。今後も世代や国境を超えて「国際文学」や「翻訳文学」が広く親しまれてゆくはずです。

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