Waseda Culture早稲田文化

News

ニュース

是枝裕和氏と福嶋亮大氏がコメントを発表(早稲田大学坪内逍遙大賞受賞者発表記者会見) 

2019年10月17日、早稲田大学は第7回早稲田大学坪内逍遙大賞の受賞者発表記者会見を行い、大賞に是枝裕和氏、奨励賞に福嶋亮大氏が決定と発表いたしました(授賞理由、受賞者プロフィールは速報記事をご覧ください)。

記者会見では、選考委員より詳しい授賞理由が明かされたほか、両氏からの受賞についてのコメントも発表されました。

是枝裕和氏を選出した理由

過去の大賞受賞者は作家が大半であるが、今回は映画監督である。「早稲田大学坪内逍遙大賞」は、早稲田文化の創造者ともいうべき坪内逍遙の偉業を顕彰し、国際文化交流・文化創造・伝統文化の継承など、社会と公共の利益を増進することに寄与した文化芸術活動を顕彰することを目的としている。賞の原点に立ち返り、相応しい人を選ぼうと議論を尽くした結果、是枝氏を大賞に選出することとした。(鵜飼哲夫委員長)

是枝氏は映画監督として国際的に高い評価を得ているが、加えて、文筆の方面でも多くのファンを持っている。もともとはテレビ番組からの出身であるが、映画の方面に移った今も、テレビを水平に見るだけでなく垂直に受け止め、先の世代からのバトンを若い世代へ受け継ごうとしている。テレビは若いメディアである。だからこそこの数十年の収穫と反省を受け止め若い世代に渡していくということが必要ではないかと思う。分福という会社を立ち上げ、新進気鋭のクリエイターの後押しをするなど、若い世代の育成も積極的である。水平と垂直、両方を兼ね備えた方であり、ご本人からも快諾を得て受賞となった。(重松清委員)

映画においてはすでに各方面で評価がされている。ただ、それは是枝氏の一部である。我々は是枝氏の仕事の総体を見て、映画を含めた広く表現者としての貢献を考えて顕彰した。坪内逍遙も若き世代の育成にあたっていた。坪内逍遙大賞としての名にふさわしい選考となったと考えている。また、「早稲田大学坪内逍遙大賞」と隔年開催である、岐阜県美濃加茂市の演劇人を顕彰する「坪内逍遙大賞」の対象分野の方でもあるという意見が挙がり、選考委員の中でもかなり真剣に議論したが、鵜飼委員長が先ほど紹介したこの賞の目的に合致している方であると判断した。(小野正嗣委員)

テレビの歴史認識に対する発言、ご自身の経験に基づいた提言を継続的にされている。坪内逍遙は権力に対してきわどい立場から表現活動を行っており、是枝氏は令和の坪内逍遙といっても過言ではない。(ロバートキャンベル委員)

福嶋亮大氏を選出した理由

昨今の日本のサブカルチャーを含めた批評活動を行っていることに加え、作品を緻密に読解し、歴史的に見た上での位置付けも行うなど、近年まれにみるスケールの大きな評論家であり、知識人としての福嶋さんの仕事の総体を、敬意とともに活躍への期待もこめ顕彰した。今までの近代の批評は、西洋を学んだ人が日本に戻って行うもので、いわば西洋的であった。福嶋氏はそれを参考にしつつ、東洋の文化や思想も批評の根底としている。これまでにないパースペクティブの広さがあり、時にスリリング、時に大胆に我々を楽しませてくれる。(小野正嗣委員)

福嶋亮大氏コメント

記者会見に参加した福嶋亮大氏は「大変光栄な賞をいただきうれしく思う。賞をとったことを機に、光の当たらない事物に対して繊細な心配りをしていきたい。文芸批評は文明批評でなくてはならないと考えており、そのように仕事をしてきた。そのようなところを評価いただいたように思う。」と述べ、記者からの質問に1つ1つ丁寧に回答しました。

是枝裕和氏コメント

記者会見への参加が叶わなかった是枝氏のコメントは、長年に渡り氏と共に映画づくりを行い、最新作『真実』のプロデューサーを務める福間美由紀氏(分福所属)が発表しました。

「このたびは、早稲田出身の自分にとってはとてつもなく大きな名前を冠せられた賞を頂きまして、まさに背筋の伸びる思いでおります。母校で教壇に立つようになって、在学中には微塵も感じていなかった愛着を今、日に日に早稲田大学という存在に感じ始めておりましたので喜びもひとしおでした。ただし、受賞理由を読ませて頂き、来し方を振り返ってみると、自分のどの取り組みも未だ道半ばであることに唖然となります。それでも、立ちすくむことなく一歩一歩踏みしめながら、先人の切り拓かれた道をこれからも歩いていきたいと思います。ありがとうございました。」

早稲田大学坪内逍遙大賞受賞者

第1回(2007年)大賞:村上春樹氏/奨励賞:川上未映子氏
第2回(2009年)大賞:多和田葉子氏/奨励賞:木内昇氏
第3回(2011年)大賞:野田秀樹氏/奨励賞:円城塔氏
第4回(2013年)大賞:小川洋子氏/ 奨励賞:小野正嗣氏・山田航氏
第5回(2015年)大賞:伊藤比呂美氏/奨励賞:福永信氏
第6回(2017年)大賞:柴田元幸氏/奨励賞:アーサー・ビナード氏
第7回(2019年)大賞:是枝裕和氏/奨励賞:福嶋亮大氏

第7回早稲田大学坪内逍遙大賞選考委員

鵜飼哲夫委員長(読売新聞編集委員)
奥泉光副委員長(小説家、近畿大学教授)
松永美穂副委員長(翻訳家、早稲田大学教授)
小野正嗣委員(小説家、早稲田大学教授)
ロバートキャンベル委員(日本文学研究者、国文学研究資料館長)
重松清委員(小説家、早稲田大学教授)
田中光子委員(株式会社文藝春秋文藝出版局第一文藝部部長)

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/culture/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる