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世界ハンセン病デー特別企画「あん」 学生STAFFインタビュー(政治学研究科修士2年 李紫菲さん)

2018年1月28日(日)、早稲田大学大隈記念講堂にて世界ハンセン病デー特別企画「朗読劇『あん』と映画『あん』」を実施いたしました。ハンセン病に対しての社会からの偏見をテーマにした小説「あん」から発展した朗読劇と映画(詳細はこちら)を一挙に上演し、3年度連続で開催してきた本学での「あん」企画のフィナーレとなりました。約600名のお客様をお迎えするにあたり、10名の学生STAFFが運営に協力してくれました。その中の一人、政治学研究科修士2年で中国からの留学生、李紫菲さんにお話を伺いました。

中国から早稲田へ進学したのはなぜですか?

中国の重慶大学に入学したのですが、日本のアニメが好きで日本語を学んでいました。3年生の時に1年間、交換留学で早稲田に在学しましたが、グローバル化がとても進んでいて色々な国の留学生と仲良くなることができました。他の大学にも少し留学したのですが、早稲田の方が多文化交流が存分にできると思い、早稲田の大学院への進学を希望しました。

また、小さい頃から母の影響でカメラ撮影が大好きで、写真や映像をたくさん撮っていました。大学時代は映像制作サークルに所属していましたが、自分の考えをドキュメンタリーにして伝える仕事に就きたいと思うようになり、政治学研究科でジャーナリズムを学びたいと思いました。

ハンセン病支援活動に携わるようになった経緯を教えて下さい。

早稲田に入学したときから修了作品のテーマを何にしようか悩んでいました。2017年3月に中国の留学生校友会で、昨年の「あん」イベントに参加していたチョウギョクギョウさんからハンセン病支援活動を紹介され、試しに参加してみようと思いました。3月からハンセン病快復村でのワークキャンプ(労働奉仕ボランティア)をコーディネートする中国のNPO「家-JIA-」のボランティア活動に参加し、8月になって初めてハンセン病快復村に行きました。

事前にWebサイトでハンセン病がどんなものなのかは調べていましたが、中国海南省の快復村で村人達の手足が変形していたり無かったりしてびっくりしました。恐ろしくて泣きました。快復村で道路修復などのインフラ改善に取り組んでいるうちに村人達とは少しずつ親しくなりましたが、特に村長さんとはたくさんお話をさせていただきました。村長さんは片方の足がすごく細くて片方の足がすごく太い、片目が見えない方です。村長さんのこれまでの隔離された時代の物語を聞いているうちに恐ろしいイメージもなくなりました。快復村にいる方たちは皆、高齢者であり、20~30年経つとこの真実は世間から忘れられてしまうのではないか、記録しておかなければ若い人たちは知ることもできないないかと思うようにもなりました。今は、社会の噂は誰もコントロールできないこと、世間には偏見と差別がまだ残っているんだということを伝えるドキュメンタリーを制作したいと考えています。

中国だけではなく日本の療養所にも興味があり、このイベントでドリアン助川さんと対談した原田燎太郎さん(早稲田大学卒業後、NPO「家-JIA-」を設立)と村長さんに紹介いただいた、鹿児島・星塚敬愛園の小牧義美さんを訪ねました。小牧さんは16歳のときハンセン病と診断され星塚敬愛園に入所しましたが、中国の快復者支援に積極的に取り組み、医療指導などを行ってきた方です。2017年11月と12月に1週間ずつ療養所の中の宿泊所に泊まりお話を伺いましたが、これまでの過酷な体験をとてもポジティブに語ってくださいました。カラオケも大好きでしたよ。

小牧さんを通じて「あん」の徳江さんのモデルになった上野正子さんにも会いました。映画「あん」は多くの中国の学生達に観られており、上野さんの存在も以前から知っていました。上野さん達が国家賠償訴訟で勝った日から日本のハンセン病快復者の方達は新しく生まれ変わったんです。支援金ももらえるようになり、療養所の生活も良くなりました。上野さんはドリアン助川さんからの手書きの手紙を大事に保存していて、暇なときには取り出してみているそうです。「ドリアンさんはすごく良い人。舞台に一緒に出た時も、とても優しく丁寧に私を紹介してくれて、すごく感動した。」ともおっしゃっていました。映画の徳江さん役・樹木希林さんと監督・河瀬直美さんの写真も見せてくれました。

それから、出身の沖縄県石垣島のサーターアンダギーを作ってくれて、一緒に食べたこともありました。「13歳で鹿児島に来ることになってしまったが、もしも鹿児島に来ていなかったら友達と一緒に戦争で死んでいたかもしれない」とおっしゃっていたのが印象に残っています。誰も恨んでいない。感謝の気持ちを持っている。快復者の社会復帰のために、人権を守るために努力している。上野さんが徳江さんのモデルだからこそ、「あん」が皆の心に届くのではないかとも思っています。

小説・朗読劇・映画「あん」の印象はいかがでしょうか?

「らい予防法」が1996年に廃止となっても偏見は変わらない。だがら仕事も探せない。だから療養所からも出られない。「あん」は偏見の世界をあぶりだし、快復者の生活や心の声をきちんと伝え、多くの方の共感を呼ぶ名作だと思います。小説・朗読劇・映画と色々な入口があるから、幅広く知られることにもなりました。

朗読劇は、今回、初めてみました。中井貴惠さんとドリアン助川さんのアクセントや語調の変化を通じて人物の生活や心の本当の声がリアルタイムで伝わってくるところに魅力を感じました。小説の字が見えない人は耳から聞いて分かります。留学生にも十分伝わります。映画は俳優のアクションからインパクトを感じますが、朗読劇は言葉の力がすごく強いですね。

今後の抱負を聞かせてください。

卒業までに中国と日本のハンセン病快復者のドキュメンタリーを作成して、大隈記念講堂で上映したいです。お世話になった皆さんにも是非、観てもらいたいです。

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