11月13日(月)・14日(火)に小野記念講堂において、多和田葉子・高瀬アキ パフォーマンス&ワークショップが開催されました。
多和田葉子氏は本学卒業の詩人・小説家であり、日本では芥川賞・谷崎潤一郎賞、早稲田大学坪内逍遙大賞、ドイツではゲーテメダル、クライスト賞をはじめとした数々の文学賞を受賞するなど、日独両国で精力的に活躍しています。
高瀬アキ氏はヨーロッパやアメリカをはじめとし世界各地で演奏活動している音楽家であり、ジャズ、即興音楽を中心としたパフォーマンスは国際的に高く評価され、現在ではコンテンポラリージャズの第一人者としてその名を広く知られています。
開催8回目を迎える、お二人の朗読と音楽をコラボレーションさせたパフォーマンス&ワークショップ企画。2017年度は例年を超える来場者が集まる中、「世界の終わり」をテーマとしたユニークなパフォーマンスに、参加者を交えた思索的なワークショップが行われました。
一日目の前半では、お二人による連弾と「まやかしじゃないよ、マヤコフスキー」という言葉を皮切りに、言葉遊びがふんだんにちりばめられたパフォーマンスが繰り広げられました。作品内のセリフ「詩人の頭の中のように散らかっている」をそのまま再現したかのようなドイツ語、日本語、英語による言葉遊びに加え、チェーホフなどの名作の諸場面の引用、さらには単語の連呼や拍手、旗や作中の登場人物を象徴する小道具を用いたりピアノの弦を直接指で弾いたりするなどのアクションにより、言葉と音楽の持つ多様性と可能性が示されました。また、数々の風刺が交えられた朗読は、さまざまな調和が崩れつつある現代とも重なる点があり、我々が現在置かれた状況について改めて考えさせられる内容でした。
2日目は来場者参加型のワークショップが開催されました。本学の院生、作家などバックグラウンドがさまざまな9名の参加者が、あらかじめ今回の「世界の終わり」をテーマに作成したテキストの朗読を行った後、多和田・高瀬両氏による講評を受けました。
講評では両氏がコメントするというのみならず、多和田氏が朗読中に切り絵を行って作品に参加したり、高瀬氏がテキストをもとにピアノ曲を即興で制作し、朗読中に合わせ演奏したりするなど、非常にアクティブなものとなりました。そのような両氏とのかかわりをもって再び朗読されたテキストは新鮮な印象を見せ、作品を舞台上で作り上げていくことの面白さを会場全体で体験できた2時間でした。
本企画は、2018年度も11月15日、11月16日に実施予定です。ぜひみなさんも多和田葉子氏・高瀬アキ氏のパフォーマンスを体験しませんか?詳細は2018年7月頃に早稲田文化Webサイトにてお知らせする予定です。