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柴田元幸氏、アーサー・ビナード氏、喜びを語る(第六回早稲田大学坪内逍遙大賞授賞式・祝賀会開催)

2017年10月2日、第六回早稲田大学坪内逍遙大賞受賞者発表記者会見を行い、大賞に柴田元幸氏、奨励賞にアーサー・ビナード氏が決定と発表いたしました。

11月6日にはリーガロイヤルホテル東京において授賞式・祝賀会を開催、学内外の文学者や出版関係者など200名を超える方にお集まりいただき、会場は満員となりました。受賞者や選考委員等の機知に富んだスピーチとご来場者の盛大な拍手で、終始温かい雰囲気に包まれた式典となりました。

鎌田薫 早稲田大学総長挨拶

本日ご出席下さった大勢の皆様に御礼申し上げるとともに、受賞者のお二人に心よりお祝い申し上げる。本賞は本学の草創期を象徴する人物の一人でもあって、文学、演劇、翻訳など極めて幅広い分野で日本の文化の礎を築いた坪内逍遙の名を冠し、2007年の大学創立125周年を記念して設けられた賞であり、開催は本年でちょうど10年目にあたる。

柴田元幸様は長らく翻訳に携わり、現在もアメリカ文学の紹介や交流等、精力的に活動をされている。また奨励賞のアーサー・ビナード様は、1990年に来日してから日本語を習得され、現在では日本語を活かし様々な分野で活躍されている。お二人とも翻訳の活動を通じて、大変美しい日本語を作られていたということが審査員の先生方から語られている。そうした点から、シェイクスピアの全訳を成し遂げた坪内逍遙を記念する大賞、奨励賞を授賞するに大変ふさわしい方々が選ばれたと思っている。

これを機にますますその力を発揮していただき、坪内逍遙の築いた礎の上に、さらに「翻訳」というものの確固たる城郭を築いてくださることを期待してやまない。

【大賞】柴田元幸氏挨拶

早稲田大学坪内逍遙大賞は、第一回の村上春樹さん受賞以来、毎回素晴らしい創作者の方が受賞している。その中に翻訳者である自分が加わって良いのだろうかという気持ちもあったが、同時に日本での翻訳者の意義がいかに認められているかということを改めて実感している。翻訳者をこうした重要な賞の対象に入れてくださった選考委員の皆様、関係者の皆様に心からお礼を申し上げたい。

また今回ご来場者に配付されたパンフレットの授賞理由を見ると文芸誌の編集の仕事についても評価していただいたように思われる。これまで日本にて日本語の文芸誌、アメリカにて英語の文芸誌を編集・出版し、毎年アメリカやカナダにて日本と海外の作家が交流する場を提供してきたが、そうしたことが評価され嬉しく思う。

今回の大賞はすべての翻訳者、編集者を代表して授賞されたのだと考えている。

【奨励賞】アーサー・ビナード氏挨拶

大学時代から主にシェイクスピアと同時代の文学者に魅力を感じ研究を行っていた。彼らの魅力は「劇作家が言葉を作っていること」だと思っており、大学院でもその研究を続けるつもりでいたが、卒業論文に取り組む際に日本語について書かれた文章を読んで初めて日本語の面白さを知り、早稲田大学で中世和歌の勉強を始めた。

坪内逍遙との出会いは、シェイクスピアがどのように日本語に生まれ変わったかということを調べていた時である。明治という早い時代にシェイクスピアの全訳を成し遂げたということに衝撃を受け、大変大きな仕事を成し遂げた人だと感じた。翻訳という仕事を意識し始めたきっかけであった。

「シェイクスピア文学を日本語に生まれ変わらせる」という仕事のスケールの大きさは今までの自分の仕事のスケールの小ささとは対照的である。その坪内逍遙の名前の付いた賞の名前が自分の略歴の中に組みこまれるということは、もっと大きな仕事に取り組んでいってほしいというメッセージだと考えている。

高橋源一郎選考委員長祝辞(柴田元幸氏に向けて)

素晴らしい方が受賞する結果となり、選考委員一同大変嬉しく思っている。今年は偶然翻訳者であるお二人が受賞した。坪内逍遙は、日本文学が翻訳から始まったことを教えてくれた存在である。早稲田大学坪内逍遙大賞にとってこのお二人を同時に選ぶことができたのは大変画期的であり、素晴らしい出来事であると思う。お二人のこれからのご活躍を願っている。

柴田さんは自分がデビューした頃から、アメリカ文学研究者としてその名を見ることが増えてきた。日本文学とは外国語との葛藤の歴史であり、素晴らしい翻訳、時代を代表する翻訳者は常に大切にされてきた。80年代以降、柴田元幸という存在が少しずつ大きくなっていったように思い、今では彼の翻訳であれば読むのが当然という声もある。

自分と同時代に、翻訳者として彼ほどまでに大きな存在になった人はいない。この時代に柴田さんと出会えたことは大きな喜びである。

加藤典洋選考委員祝辞(アーサー・ビナード氏に向けて)

ビナードさんは、詩、絵本、エッセイなど多彩な活動をなさっている。誰も知っている人がいない国に来て、そこから日本語を覚え日本語を活かし活躍しているということは驚嘆に値する。

現在の日本語は、ビナードさんの詩集の言葉を借りれば「食器棚や押入れにしまっておく」ようなものになってしまっているが、ビナードさんからは日本語として当たり前のことを教えられる。明治時代、坪内逍遙などが何もない状態から様々なことを試み言葉を作ったのであるが、ビナードさんの仕事にはその偉業を思い起こさせてくれるようなスケールの大きさがある。

 

 

早稲田大学坪内逍遙大賞・奨励賞受賞者の皆様には、受賞を契機に、本学の文化推進活動に大きくご貢献いただいております。

【受賞者ご活動例(2017年度)】
・川上未映子氏(第一回奨励賞受賞)責任編集 早稲田文学増刊「女性号」発刊
・多和田葉子氏(第二回大賞受賞) 「多和田葉子・高瀬アキ パフォーマンス&ワークショップ」開催
・小野正嗣氏 (第四回奨励賞受賞)第六回早稲田大学坪内逍遙大賞選考委員に就任
・伊藤比呂美氏(第五回大賞受賞) 佐賀市大隈重信記念館にて講演

今回受賞の柴田元幸氏・アーサー・ビナード氏にも、今後、本学とのつながりをますます深めていただけることを願っております。

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